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(対象地域 富士市、富士宮市
沼津市 静岡市清水区)
1.養子縁組による相続税対策
2.贈与税の基礎控除額110万円以内の贈与 による相続税対策
3.扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与による相続税対策
4.現金贈与による相続税対策の実際
5.生前贈与による浪費対策
6.資産の組み替えによる相続税対策
7.被相続人の居住していた空き家の譲渡に係る3000万円控除の特例
8.相続財産を譲渡した場合の相続税が取得費として加算される特例
9.生命保険を活用した相続税対策と税務上の留意点
※ 次に上記相談内容の解説がありますのでご覧下さい。
相続税の節税対策として、下記の【養子縁組による節税効果】があることから、養子縁組届出をし相続人の員数を増やすことが有利であると言われております。養子縁組は、特別な費用の負担もなく、簡便で即時に節税効果のある対策です。下記に「養子縁組届」の見本のPDF文書も掲載しますのでご参照下さい。なお、相続税法上、被相続人に実子がいる場合の法定相続人に含める養子の数は1人までとされ、実子がいない場合の法定相続人の数に含める養子の数は2人までと制限されておりますので、ご留意下さい。
「養子縁組届」見本の【PDF文書】をダウンロード →「養子縁組届(富士市用)」
「養子縁組届」見本の【PDF文書】をダウンロード →「養子縁組届(記載例)」
【養子縁組による節税効果】
①「基礎控除額」の増加
養子1人が増えることは法定相続人が1人増えることになり、法定相続人1人分の600万円の基礎控除額が増加します。相続税の最低税率が10%ですので、節税額は600万円×10%=60万円以上になります。
②「超過累進税率」の軽減
養子1人が増えることにより法定相続人が増加し、配偶者以外の法定相続分が減少することになり相続税の適用税率(累進税率)が軽減されることがあります。つまり、相続人1人当たりの法定相続分に応ずる取得金額が減少することになり、適用税率の区分がより低い税率になることもあります。
死亡保険金や死亡退職金には基礎控除額とは別の非課税限度額があり、養子1人が増えることにより法定相続人1人分(500万円)の限度額が増加します。
④孫との養子縁組による相続税負担の回避
孫と養子縁組をした場合、一世代(子の相続)飛び越すことにより相続税の課税(子の相続税)を回避することができます。但し、孫には「相続税額の2割加算」の適用があります。
未成年者や障害者の方と養子縁組をすることにより、相続税の税額控除(未成年者控除・障害者控除)が受けられます。未成年者控除額は、満18歳になるまでの年数1年(1年未満の端数は1年)につき10万円を乗じた金額となっております。又、障害者控除額は、満85歳になるまでの年数1年(1年未満の端数は1年)つき10万円(特別障害者20万円)を乗じた金額となっております。従って、未成年者の特別障害者と養子縁組をした場合には、20万円×67年(85歳-18歳)=1340万円以上の税額控除(相続税額の節税)を受けることができます。
一方、相続税法第63条(相続人の数に算入される養子の数の否認)では、「・・・養子の数を・・・相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合においては、税務署長は、相続税についての更正又は決定に際し、税務署長の認めるところにより、当該養子の数を当該相続人の数に算入しないで相続税の課税価格・・・及び相続税額を計算することができる。 」とされております。
従って、相続税対策としての養子縁組は、次のような【相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合】に留意する必要があると思います。
【相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合】
①相続開始直前の被相続人が重篤な状態の際、意思能力(縁組の意思)がなく縁組届が受理された場合
②認知症や精神疾患等の意思能力のない被相続人と養子縁組をした場合
③親族関係のない第三者と縁組をし遺留分を放棄させた場合
養子縁組は身分行為であり、税務当局が養子縁組を否認することは事実認定の問題でもあるため、実際的には養子の数の否認の判断は難しいものであると言われております。
なお、相続税の節税目的のためだけの養子縁組が有効か無効かが争われた裁判で、最高裁判所は、平成29年1月31日、「節税目的のための養子縁組でも直ちに無効になるとは言えない」とする初判断を示しました。最高裁判所は、節税目的のための養子縁組を無効とした第2審の東京高等裁判所の判決を破棄する判決を言い渡したことにより、第1審の東京家庭裁判所の判決が確定しました。この結果、裁判所は、節税目的のための養子縁組を否定しない判断をしました。
【養子縁組についての推定相続人間の理解】
養子縁組は、養親と養子との縁組意思の合致と縁組届を役所に提出し受理されることにより成立し、推定相続人の了承を得ることは必要とはされていません。従って、例えば長男の子(孫)と養子縁組をする場合、長男は自分の子供を養子とすることに異存はない(むしろ長男が積極的に養子縁組を推進した)ものと思われます。ところが、長男以外の推定相続人(他の兄弟)は、自己の了承も得ずに長男の思惑によって勝手に養子縁組をしたことや、兄弟の員数が増えてしまうことや、自分の法定相続分が減少することに対し、長男に不信感を生ずることもあるかと思われます。最悪のケースでは、相続開始後の遺産分割協議が紛糾することにもなりかねません。このため、養子縁組についての推定相続人間の理解が必要だと思われます。養子縁組は、養親がお元気で意思能力も充分にあり、養親自らが推定相続人全員に対して説明や説得ができる状態の時にすべき対策であるかとも思われます。ご注意ください。
その他、下記国税庁のホームページ(タックスアンサー)を御参照下さい。
No.4102「相続税がかかる場合」・・・相続税の基礎控除額
No.4152「相続税の計算」
No.4155「相続税の税率」・・・相続税の超過累進税率
No.4157「相続税額の2割加算」
No.4170「相続人の中に養子がいるとき」
No.4114「相続税の課税対象になる死亡保険金」
No.4117「相続税の課税対象になる死亡退職金」 ☆
贈与税の計算方法は、暦年課税と相続時精算課税の2種類があります。暦年課税は、一暦年(1月1日~12月31日)1人当たり110万円の「基礎控除額」があり、贈与税評価額が110万円以下の贈与であれば贈与税は課税されなく、又、贈与税の申告もする必要がありません。この基礎控除額を活用し、毎年110万円以下の贈与を繰り返して実行することは、相続税対策の一つとして周知されていると思われます。この基礎控除額以下の贈与方法は、実務上、小規模な遺産(相続税が課税されない財産規模)に関する争族?(相続)対策として、贈与税も課税されず、生前に名義変更もできるため、とても有効な手段とされております。
ところが、相続税対策としては、『やらないよりはましである。』という程度のものと考えられている節もあります。つまり、多額の遺産を有する方々にとっては、大きな節税効果を期待することはできず、いわば焼け石に水の状態と思われているからです。しかし、将来の相続税の負担が避けることができない方々にとっては、相続税の最低税率が10%であることから、多少の贈与税の負担を覚悟して効率的な贈与を実行することが相続税対策として賢明な方策であると思います。
① 例えば、贈与税評価額が310万円分を贈与した場合の贈与税は20万円となります。
(310万円-110万円)×10%=20万円
贈与税の実効税率は、20万円÷310万円≒6.5%となり、相続税の最低税率よりも低くなります。
② 贈与税評価額が510万円分を贈与した場合の贈与税は50万円となります。
(510万円-110万円)×15%-10万円=50万円
(20歳以上の受贈者が直系尊属から贈与された場合:贈与税改正点)
贈与税の実効税率は、50万円÷510万円≒10%となり、相続税の最低税率と同率となります。
ただし、留意すべき点として、相続税の実効税率及び贈与に伴う諸手続き費用も加味し、一歴年1人当たりの贈与税評価額を検討すべきであると思います。不動産の名義変更手続費用(登記費用、登録免許税、不動産取得税等)は、想定した以上の経費が必要な場合もありますので、特に留意すべきだと思います。
さらに、贈与対象者は1人に限らず、複数人に毎年贈与することも必要であると思います。例えば、4人(子や孫、子の配偶者等)に対して毎年贈与税評価額300万円分を10年に渡って贈与した場合には、1億2000万円分(4人×300万円×10年)の相続財産を減少させることができます。つまり、贈与税評価額は、基本的に相続税評価額と同額であるからですし、贈与者が、健康で長生きができれば莫大な節税ができると思います。
又、超高額資産家は、「相続税」及び「贈与税」の最高税率はともに55%ですので、億単位の贈与を実行しても税負担は変わらないことになります。この場合に贈与するときのポイントは、値上がりしそうな資産や高収益な資産(利回りの良い賃貸物件など)を孫へ一世代飛ばして贈与すればその効果は絶大なものとなります。
なお、相続時精算課税制度を選択せず暦年課税制度を選択してきた場合において、贈与者がなくなった時の相続税の計算上、原則として相続財産の価額に贈与財産の価額を加算する必要はありませんが、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産の価額(贈与時の時価)は加算することになっております。その際、既に納付した贈与税相当額を相続税額から控除できますが、控除しきれない贈与税額は還付されないことになっております。又、令和5年度の税制改正では、以下の改正がなされ、令和6年1月1日以後に受けた贈与について適用されることになりましたのでご注意ください。
① 3年加算の改正(3年から7年へ)
暦年課税において贈与を受けた財産を相続財産に加算する期間を相続開始前3年間から7年間に延長(増税)し、延長した4年間に受けた贈与のうち総額100万円までは相続財産に加算しないことになりました。
② 相続時精算課税制度の110万円基礎控除の創設(暦年課税制度の110万円基礎控除とは別物)
相続時精算課税制度について、現行の暦年課税の基礎控除とは別途110万円の基礎控除を創設するとともに、相続時精算課税で贈与を受けた土地や建物が災害により一定の被害を受けた場合に相続時にその課税価格を再計算する見直しがされました。(相続時精算課税制度については別のコナーで取り上げたいと思います。)
③ 今後の相続税対策
今後の対策として、被相続人の相続開始までの期間が7年以上であると予想される場合(被相続人が元気で年齢も若い場合)は、110万円以上の贈与をしても贈与税率が相続税率よりも下回るのであれば暦年課税(改正前と同一の対策方法)を選択したほうが有利となります。一方、被相続人の相続開始までの期間が7年以下であると予想される場合(被相続人が高齢である場合や重篤な病気に罹患した場合など)は、相続時精算課税制度を選択し、110万円(相続時精算課税制度の基礎控除)の贈与を行い相続財産を圧縮する方法が有効であると考えられます。
その他、国税庁の「贈与税の申告のしかた」「タックスアンサー」の下記コーナーも御参照下さい。
贈与税の申告のしかた 「贈与税の計算方法等の概要」
NO.4408「贈与税の計算と税率(暦年課税)」
NO.4410「複数の人から贈与を受けたとき(暦年課税)」 ☆
「扶養義務者(父母又は祖父母)」から「生活費」又は「教育費」として贈与を受けた財産のうち、「通常必要と認められるもの」については、法律的にもお互いに扶養義務があるため、贈与税の課税対象とはされておりません。このため、扶養義務者(父母又は祖父母)が、被扶養者(子や孫)に対して通常必要と認められる「生活費」又は「教育費」などの資金贈与を不定期的に実行すれば、扶養義務者(父母又は祖父母)の財産が減少し、結果として扶養義務者(父母又は祖父母)の相続税の節税対策となります。一方、被扶養者(子や孫)は、贈与された「生活費」などにより生活することによって、自身の給与などを蓄財することができ、相続税の納税資金の準備をすることも可能になると思います。
ここで重要な点は、下記の 『扶養義務者』 『生活費』 『教育費』 『通常必要と認められるもの』などがキーワードとなりますので、それぞれの内容や留意点をご説明致します。
①『扶養義務者』
扶養義務者とは次の⑴~⑷の者 をいいます。なお、扶養義務者に該当するかどうかは、贈与の時の状況により判断しますので御留意下さい。又、同居の親族であれば、通常扶養義務者に該当すると考えられます。
⑴ 配偶者
⑵ 直系血族又は兄弟姉妹
⑶ 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内親族
⑷ 三親等内の親族で生計を一にする者
②『生活費』
生活費とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く)をいいます。又、治療費や養育費、その他これらに準ずるもの(保険金又は損害賠償金により補填される部分の金額を除く)を含みます。通常の日常生活を営むのに必要な費用に該当するかどうかは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲かどうかで判断することとされております。このため、子が自らの資力によって居住する賃貸住宅の家賃等を負担し得ないなどの事情を勘案し、社会通念上適当と認められる範囲の家賃等を親が負担している場合には、贈与税の課税対象とはならないものとされております。扶養義務者相互間における毎月一定額の通常必要な費用であれば生活費に該当すると考えられます。
③『教育費』
教育費とは、被扶養者(子や孫)の教育上通常必要と認められる学資(入学金・授業料等)、教材費、文具費、通学のための交通費、学級費、修学旅行参加費等をいい、義務教育に係る費用に限られません。又、個人から受ける入学祝等の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象とはならないものとされております。高額な私立医科大学の学資や海外留学費用であっても教育費に該当すると考えられます。但し、私立医科大学の高額な寄附金は、教育費には該当しないものと考えられております。☆
④『通常必要と認められるもの』
贈与税の課税対象とならない生活費又は教育費に充てるための贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」とは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいいます。従って、その金額が多額であるか否かは、個々人ごと、御家族ごとの家庭の状況により異なりますので、贈与を受けた者の生活のレベルに見合った金額であれば該当するものと考えられます。
⑤「数年間分の一括贈与」
贈与税の課税対象とならない生活費又は教育費とは、生活費又は教育費として通常必要と認められるものであり、必要な都度、直接これらの用に充てるために贈与がされた財産とされております。数年間分の生活費又は教育費を一括して贈与を受け、その贈与を受けた財産が生活費又は教育費に充てられずに、贈与を受けた者の預貯金として蓄財された場合、株式や不動産の購入費用に充てられ贈与を受けた者の名義にされた場合等のように、その生活費又は教育費に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象になります。従って、必要な都度、通常必要と認められる費用に限定して贈与をした場合は課税対象とならないものと考えられます。
⑥「婚姻費用」
婚姻に当たって、子が親から婚姻後の生活を営むために、家具、寝具、家電製品等の通常の日常生活を営むために必要な家具什器備品等の贈与を受けた場合、又、これらの購入費用に充てるために金銭の贈与を受け、その全額を家具什器備品等の購入に充てた場合には、贈与税の課税対象とはなりません。ただし、贈与を受けた金銭が贈与を受けた者の預貯金として蓄財された場合、株式や不動産の購入費用に充てられ贈与を受けた者の名義にされた場合等のように、その生活費(家具什器備品等の購入費用)に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象になります。又、個人から受ける結婚祝等の金品は、社交上の必要によるもので贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象とはならないものとされております。
⑦「結婚式・披露宴の費用」
結婚式や披露宴の費用の負担者は、その結婚式や披露宴の内容、招待客との関係・人数や地域の慣習などによって様々ですが、これらの諸事情に応じて、本来費用を負担すべき者が負担している場合には、そもそも贈与には当たらないので、贈与税の課税対象にはならないものとされております。従って、新郎・新婦の両親が高額な費用の負担をした場合においても、両親が負担すべき費用であれば基本的に課税対象にはならないと考えられます。
⑧「出産費用等」
扶養義務者相互間において生活費に充てるために贈与を受けた場合、贈与税の課税対象にならない「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むために必要な費用(教育費を除く)をいい、治療費、通院費、入院費、養育費、その他これらに準ずるもの(保険金や損害賠償金により補填される金額を除く)も含まれます。このため、出産に関する費用のうち、検査・検診・通院・分娩・入院費に充てるために贈与を受けた場合、これらの費用は治療費(保険等により補填されるものを除く)に準ずるものであるため、贈与税の課税対象にはなりません。又、新生児のための寝具、産着などのベビー用品の購入費に充てるため金銭の贈与を受けた場合についても、生まれてくる子供が通常の日常生活を営むために必要なものの購入に充てられている部分については、贈与税の課税対象とはならないものとされております。その他、個人から受ける出産祝の金品は、社交上の必要によるもので、贈与をした者と贈与を受けた者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象とはならないものとされております。
なお、このコーナーは国税庁のホームページ「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」を参照致しました。 ☆ ☆
「贈与」とは、一般に「とにかく、タダで金銭や物をあげること」だと端的に認識されていると思います。しかしながら、「贈与」とは、法律行為であり、民法第549条の「贈与契約」とされております。法律上、「贈与契約」は、贈与をしようとする者(贈与者)が自分の財産を無償で相手方(受贈者)に与える意思を表示し,相手方がこの贈与を受諾することにより効力が発生するものとされております。つまり、贈与者と受贈者の両者の意思が合致し、両者が納得しなければ成立しない契約行為とされておりますので、いずれか一方の者が、贈与の事実を知らない(分からない)などということはありえません。もし、知らない(分からない)場合には、贈与契約は成立していないことになります。
仮に、財産をもらう受贈者が、5歳の幼稚園児であった場合には、幼稚園児に財産をあげると伝えても、もらう幼稚園児は贈与契約の内容(法律行為)を理解できないので、贈与契約そのものが成立しません。又、財産をあげる贈与者が、重度の認知症患者であった場合には、財産をあげる贈与契約そのものをすることができないことになります。つまり、財産をあげる贈与者は、贈与契約の内容を理解したうえで自己の判断により意思表示を行い、財産をもらう受贈者も贈与契約の内容を自己の意思判断により受諾できることが契約成立の要件となっております。もし、財産をあげた贈与者に相続が発生し、相続税の申告後に税務調査となり、税務当局に生前の贈与契約を否認された場合には、贈与者の財産は減少せずに遺産として相続税の課税対象となり、相続税対策として行った生前贈与が無意味になってしまうこともあります。
相続税対策の一つは、この贈与契約が成立していることを税務当局に是認(納得)してもらうことにあると考えます。このため、贈与契約が成立している証拠となる書類を作成することが必要であると思います。財産をあげる贈与者及び財産をもらう受贈者が、相互に贈与の意思の確認をしたことを実証する贈与契約書を作成することがよい方策だと思います。
次に「贈与契約証書」の雛形を掲げましたので御参考にして頂ければ幸いです。なお、この契約証書は、財産をあげる贈与者と財産をもらう受贈者の両者が自筆で署名押印し、贈与金額の授受は銀行振込にし、財産をあげる贈与者が記載した銀行振込伝票を契約書の裏面に貼付し保管する形式となっております。なお、公証人役場の確定日付をこの契約書に取得すれば、さらに事実行為の保全になると思います。こうした「贈与契約証書」は、財産をあげた贈与者の財産が減少した確実な証拠となりますので、財産をあげた贈与者の相続税対策になると考えます。
【贈与契約証書:その1】
贈与者○○○○(以下甲という)と受贈者□□□□(以下乙という)との間において、次のとおり贈与契約を締結致します。
第1条(目的)甲は、本日、乙に対し現金金110万円を贈与するものとし、乙はこれを承諾致しました。
第2条(贈与方法)甲は、前条による贈与した現金を、本日、乙が指定する銀行預金口座に振り込むものと致します。なお、振り込み完了後の伝票は、本贈与契約証書の裏面に貼付するものと致します。
本契約締結を実証するため本契約書1通作成し、甲及び乙が署名押印し、乙がこれを保管するものと致します。
令和○○年○○月○○日
(甲) 贈与者 住 所 富士市中央町一丁目9番42号
氏 名 ○○○○
(乙) 受贈者 住 所 富士市中央町一丁目9番42号
氏 名 □□□□
【PDF文書】をダウンロード →「贈与契約証書(通常型)」
財産をもらう受贈者が、未成年者などの贈与契約の内容を自己の意思判断により受諾できない場合には、法定代理人である親権者父母が未成年者に代理して受諾し、金銭や物の引き渡しを受けておけば贈与契約を有効に成立させることができます。こうした場合には、より確実な証拠を残す作業が必要であると思います。次の「贈与契約証書」の雛形を御参照下さい。
【贈与契約証書:その2】財産をもらう受贈者が未成年者の場合
贈与者○○○○(以下甲という)と受贈者□□□□(以下乙という)との間において、次のとおり贈与契約を締結致します。
第1条(目的)甲は、本日、乙に対し現金金110万円を贈与するものとし、乙はこれを承諾致しました。
第2条(贈与方法)甲は、前条による贈与した現金を、本日、乙が指定する銀行預金口座に振り込むものと致します。なお、振り込み完了後の伝票は、本贈与契約証書の裏面に貼付するものと致します。
本契約締結を実証するため本契約書1通作成し、甲及び乙の法定代理人親権者父母が署名押印し、乙の法定代理人親権者父がこれを保管するものと致します。
令和○○年○○月○○日
(甲) 贈与者 住 所 富士市中央町一丁目9番42号
氏 名 ○○○○
(乙) 受贈者 住 所・・・未成年者であるため本人の署名押印は不要と考えます。
氏 名・・・□□□□ 但し、住所と氏名の記載は必要です。
(乙の法定代理人親権者父)
住 所 富士市中央町一丁目9番42号
氏 名 □□□□の父の氏名
(乙の法定代理人親権者母)
住 所 富士市中央町一丁目9番42号
氏 名 □□□□の母の氏名
【PDF文書】をダウンロード →「贈与契約証書(法定代理人型)」
【その他の贈与契約を立証する対策:証拠作成手続】
上記「贈与契約証書」以外の毎年の現預金の贈与について税務当局に贈与契約が否認され、財産をもらった受贈者の名義預金(借名預金=被相続人の相続財産)であると認定されないための対策は下記のとおりです。
①110万円を多少超過する贈与をし、少額の贈与税の申告書を税務署に提出する。
例えば、111万円の贈与金額であれば(111万円-110万円)×10%=1,000円の贈与税額となります。
②財産をもらった受贈者は、振込後の自己名義の通帳・銀行印・キャッシュカード等を贈与者に預けたままにせず、必ず受贈者自らが所持し管理をする。
③財産をもらった受贈者は、実際に贈与を受けた預貯金を引き出して使用する (休眠口座にしないこと)。☆
相続税の節税対策として生前贈与による財産の移転をした後の留意点を考えてみます。
前記しました4.「現金贈与による相続税対策の実際」などの手法により、毎年の贈与を行うことで財産をあげる贈与者の相続財産が減少するため、理論的に相続税の節税になります。しかしながら、財産をもらった受贈者は生身の人間ですので、財産をあげた贈与者が期待する以上にもらった財産を適切に管理処分ができるものでしょうか。
宝くじの高額当選者のほとんどの方は破産するという噂話があります。大金を手に入れると気が大きくなり、金銭感覚が麻痺して散財することに抵抗がなくなり、勤労意欲も減退し、数年後には当選金額の全てを費消し、さらには借金までしてしまうという噂話です。
贈与税の基礎控除額は一暦年一人当たり110万円ですが、この金額は宝くじの当選金ほど高額ではないものの、一般的なサラリーマンの月収の数ヶ月分の金額となります。大金が毎年入金するようになった受贈者は、宝くじの高額当選者と同様な心境となり、勤労意欲が減少し、金銭感覚も麻痺し、生活レベルの急激な上昇を招いたり、ギャンブルに散在したり、借金をすることにも抵抗がなくなるなどの浪費傾向に陥ってしまうことになりかねません。このため、財産をもらった受贈者のこうしたリスクを減らすための事前の対策も必要であると思います。贈与に関係する家族が不幸にならないためのリスク対策を下記に例示致しますのでご参考にして下さい。
【リスク対策】
1.財産の使用目的や使途を明確にして贈与する。(例示)
①財産をもらう受贈者、受贈者の子や孫等の教育資金(入学金・学費)や下宿代(生活費)に充当する。
②財産をもらう受贈者の住宅ローンや教育ローンの返済に充当する。
③財産をもらう受贈者を保険契約者とする生命保険や介護保険の保険料に充当する。
④財産をもらう受贈者の将来負担するであろう相続税の納税資金として貯蓄する。
2.財産をもらう受贈者の心理的な面を家族一丸でメンタルサポートをする。(例示)
①財産をもらう受贈者とその家族で贈与後の財産の使用目的を決定する。
②財産をもらう受贈者とその家族で贈与財産の使途を確認をする。等々
贈与契約そのものを財産をあげる贈与者と財産をもらう受贈者だけの秘密にしてしまうと、財産もらった受贈者の独断ににより、もらった財産の自由な費消が可能になり、浪費の歯止めがきかなくなってしまう傾向にあります。このため、贈与者と受贈者の家族を交えた贈与後の財産の使用目的や使途を相談し確認した後に贈与契約をすれば、財産をもらった受贈者の浪費に歯止めをすることができると思います。贈与された財産は、受贈者だけのものではなく家族のものであるという認識が必要であると思います。機械的に相続税の節税が実現できたとしても、財産をもらった家族が不幸になってしまっては身も蓋もない結果となりますので、リスク対策は必要であると考えます。 ☆
相続財産は、その資産の種類ごとに相続税法上の独特な評価方法があり、例えば相続税評価額が同一の金額であったとしても、その資産の種類ごとに市場価値(売却価格)は異なるものとなっております。この相続税法上の独特な評価方法により算定した評価額の相違を利用し、被相続人の資産を組み替えることにより、相続税額を軽減することができます。以下の具体的な事例により相続税の節税策を検討してみたいと思います。
まず、具体例として、相続の対象となる方(被相続人となる方)の正味遺産総額(課税価格)が1億円、推定相続人が配偶者と子2人の合計3人、法定相続分(配偶者1/2 子1/4)に応じた遺産分割協議が成立することを前提条件として検討したいと思います。
①【被相続人となる方の遺産が預貯金1億円のみの場合】
被相続人となる方の遺産が預貯金1億円のみの場合は、相続税の納付税額は315万円となります。なお、相続税の計算内容につきましては、「相続相談コーナー」の(1「相続税」について解説して下さい。)を御参照下さい。
②【被相続人となる方の遺産である預貯金1億円全てを土地購入代金に充当した場合】
被相続人となる方の遺産である預貯金1億円の全てを土地購入代金に充当した場合、つまり、被相続人となる方の遺産の全てが土地となった場合の相続税評価額はおよそ8,000万円位となります。市街化区域内の「土地の相続税評価額」は、原則的に各国税局が毎年公表している路線価(財産評価基準書)に基づき算定されますが、この路線価は地価公示価格水準(時価相場)の80%を目途に算定されております。従って、相続税における宅地の評価額は、時価相場の約80%となりますので、1億円の購入価額がおよそ8,000万円位の相続税評価額に圧縮されます。なお、遺産総額が8,000万円の場合の相続税の納付税額は、175万円となります。
③【被相続人となる方の遺産である預貯金1億円全てを建物建築代金に充当した場合】
被相続人となる方の遺産である預貯金1億円の全てを自宅等の建物建築代金に充当した場合、つまり、被相続人となる方の遺産の全てが建物となった場合の相続税評価額はおよそ6,000万円以下となります。「建物の相続税評価額」は、固定資産税評価額の1.0倍とされております。固定資産税評価額は、おおよそ建物建築請負金額の6割程度(建物の構造等によってはこれ以下とされることもあります)を目安に算定されております。従って、相続税における建物の評価額は、時価相場の約60%以下となりますので、1億円の購入価額がおよそ6,000万円以下の相続税評価額に圧縮されます。なお、遺産総額が6,000万円の場合の相続税の納付税額は、60万円となります。
④【被相続人となる方の遺産である預貯金1億円を3,000万円の土地購入代金と7,000万円の賃貸用共同住宅建築代金に充当した場合】
被相続人となる方の遺産である預貯金1億円のうち3,000万円で土地を購入し、この土地上に7,000万円の賃貸用共同住宅を建築した場合、まず土地の相続税評価額は、3,000万円×80%(②参照)×85%(「貸家建付地」:利用制限による減価:1-借地権割合50%×借家権割合30%の場合)=2,040万円位に圧縮されます。又、賃貸用共同住宅(アパート)建物の相続税評価額は、7,000万円×60%(③参照)×70%(「貸家」:利用制限による減価:1-借家権割合30%)=2,940万円位に圧縮されます。この結果、土地と建物の相続税評価額の合計は、およそ4,980万円位となります。なお、遺産総額が4,980万円の場合の相続税の納付税額は、9万円となります。なお、この④のケースは、いわゆるタワーマンションを購入し賃貸した場合(タワマン節税の場合)にも同様な結果になると思われます。
以上、預貯金を預貯金以外の資産(不動産)に組み替えることにより、相続税は節税できます。しかしながら、節税対策だけに気をとられ、収益率・入居率の悪い賃貸用建物や将来的に売却が困難な建物を購入したり、建築してしまったりすることには充分留意しなければならないと思います。
又、1億円の土地を売買した際の不動産業者に支払う「仲介手数料」は約3%(337万円位)とされております。仮に相続税の支払いをある種の取引と仮定し相続税を取引手数料であると考えた場合、不動産仲介手数料と相続税額を比較しますと、預貯金1億円の資産(遺産総額)をお持ちである方の相続税額は315万円となりますので、ほぼ同額になります。推定相続人は、何らかの相続税対策をしなかったとしても、315万円の相続税を支払えば納税後の預貯金は自由に使用できますから、相続税の納税額は決して高額な出費とは言えないものだと思います。
以上から、相続税対策の基本は、概算でも結構ですので、まず現状の相続税額の試算をし、その後に何らかの対策をするかしないかを検討することにあると思います。相続税対策は、必ずしなければならないものではないことも理解しておく必要があるかと思います。☆
平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に、被相続人(亡くなった方)の居住していた家屋や敷地を相続又は遺贈により取得した個人が、一定の要件に該当する譲渡をした場合には、居住用財産を譲渡した場合に該当するものとみなして、譲渡所得税の計算上、3000万円の特別控除が適用できることになりました。これにより、この特例を適用して相続税の納税資金を捻出することも可能になるかと思います。なお、この特別控除の規定が適用される一定の要件とは、下記のとおりです。なお、令和5年度の税制改正では、本特例の適用期間が令和5年12月31日までとされておりましたが、令和9年12月31日までに延長されることになりました。(令和6年1月1日以降の譲渡が対象です。)
【要件①】被相続人の居住用家屋(古い居住用の一軒家の空き家)であること
被相続人の居住用家屋とは、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供していた家屋(一つの建築物)で、次の3つの要件の全てを満たすものをいいます。
⑴ 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(築36年以上)
⑵ 区分所有建物(建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物 マンション等)でないこと。
⑶ 相続の開始直前において被相続人以外に居住していた者がいなかったこと。(独り暮らし)
なお、被相続人の居住用家屋は、相続開始後に増築、改築、修繕、模様替えをした部分を含みますが、被相続人の居住用家屋の全部の取壊し又は除却した後にした増築、改築した部分及びその全部が滅失した後にする増築、改築した部分を除きます。又、特例の適用要件では、原則として被相続人が相続開始の直前において当該家屋に居住していたことが必要でしたが、老人ホーム等に入居していた場合(一定の要件あり)にも本特例の適用対象になっております。
【要件②】譲渡の時期(相続開始時から3年目の年末基準)
被相続人の居住していた家屋とその敷地を、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日(年末)までに譲渡すること。
【要件③】特例の対象となる居住用家屋や敷地(耐震リフォーム済家屋 or 更地)
⑴ 被相続人の居住用家屋(耐震リフォーム「耐震基準適合」したもの)とその敷地の譲渡 又は
⑵ 被相続人の居住用家屋の全部の取壊・除去・滅失した後のその敷地(更地)の譲渡
被相続人の居住用家屋の敷地とは、相続の開始直前において被相続人の居住用家屋の敷地の用に供されていた土地又はその土地の上に存する権利(借地権等)をいいます。なお、相続の開始直前において、「母屋と離れ」などの用途不可分の関係にある二以上の家屋のある一団の土地であった場合、二以上の家屋の床面積の合計のうち、一の家屋である被相続人の居住用家屋(母屋)の床面積の占める割合を乗じて計算した面積に係る土地の部分だけが特例の対象になります。
【要件④】譲渡資産の利用制限(居住専用)
⑴ 被相続人の居住用家屋とともにその敷地を譲渡する場合
相続の時から譲渡の時まで事業用、貸付用又は、居住用に供されたことがないこと。
⑵ 被相続人の居住用家屋の取り壊し後のその敷地を譲渡する場合
居住用家屋 : 相続の時から取り壊しの時まで事業用、貸付用又は、居住用に供されたことがないこと。
敷地 : 相続の時から譲渡の時まで事業用、貸付用、居住用、建物又は構築物のに供されたことがないこと。
【要件⑤】譲渡の時までの家屋の取壊等
被相続人の居住用家屋の全部の取壊・除却・滅失した後に、被相続人居住用家屋の敷地を譲渡することが要件とされております。つまり、家屋の取壊等をした後の譲渡とは、その譲渡の時までに家屋が取壊等がされていなければならないことになります。税法上、この譲渡の時とは、売買契約の効力発生日又は資産(敷地)の引き渡し日(残金決済日:売買代金の精算日)とされ、そのいずれかの日を納税者は選択できます。このため、家屋の取壊等は、売買契約の効力発生日又は資産の引き渡し日より前にする必要があります。一般的な譲渡所得の申告は、資産の引き渡し日を譲渡の日として申告致しますので、売買契約後に家屋の取壊等をした場合でも,資産の引き渡し日より前であるので、本特例を適用することができます。一方、売買契約の効力発生日を譲渡の日として申告する場合には、譲渡の後に家屋を取壊等したことになるので、本特例を適用することができません。なお、令和5年度の税制改正により、耐震改修工事を完了した家屋又は家屋の取り壊し後の土地を譲渡した場合が適用対象でしたが、売買契約に基づき、譲渡後、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに当該家屋の耐震改修工事又は取り壊しを行った場合にも適用対象となりました。(令和6年1月1日以降の譲渡が対象です。)。
【要件⑥】売却代金が1億円以下であること(譲渡価額要件:1億円以下)
相続の時からこの特例の適用を受けて、被相続人の居住用家屋やその敷地を売却した日から3年を経過する日の属する年の12月31日(年末)までの間に、分割して売却した部分や他の相続人が売却した部分も含めた売却代金が、1億円以下であることが要件とされています。このため、被相続人の居住用家屋と一体として利用していた部分を別途分割して売却する場合や、他の相続人が売却する場合には留意が必要です。もし、売却代金の合計金額が1億円を超えた場合には、本特例の適用がなくなるため、修正申告書の提出と納税が必要になります。
【要件⑦】共有で相続等した場合
この特例は、被相続人の居住用家屋とその敷地を相続又は遺贈により取得した個人ごとに適用の可否が判定されます。このため、被相続人の居住用家屋とその敷地を共有で相続又は遺贈により取得した場合でも、上記①~⑤までの適用要件を充足する場合には、共有者の各人ごとに3,000万円控除の適用が受けられます。ただし、共有者全員の譲渡対価の合計金額が1億円以下の場合に限られますので御留意下さい。従って、居住用不動産の譲渡対価の合計額が3,000万円以上1億円以下の場合には、遺産分割協議では共有により相続することも考慮すべきだと思います。なお、令和5年度の税制改正により、相続又は遺贈によって被相続人の居住用家屋及び被相続人の居住用家屋の敷地等を取得した相続人の数が3人以上の場合には、特別控除額が1人当たり2,000万円に引き下げられることになりました。(令和6年1月1日以降の譲渡が対象です。)
【要件⑧】その他の留意点
この特例の適用は1回のみ受けられます。
この特例は、売却した家屋や敷地について相続税の取得費加算の特例や収用等の場合の特別控除など他の税務上の特例の適用を受けないことが条件となっております(選択適用)。
なお、この特例は、自己の居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除との重複適用も可能ですが、同一年中の譲渡であるので、特別控除額は3000万円が限度額となります。その他、特定の居住用財産の買換え等の場合の課税の特例、特定の居住用財産を交換した場合の課税の特例、居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除との重複適用も可能とされております。
譲渡先が特殊関係者(配偶者、内縁関係者、直系血族、同族会社)でないこと。
店舗・事務所等の兼用住宅の場合には、居住の用に供されていた部分のみが特例の対象になります。
【要件⑨】適用を受けるための手続
この特例を受けるためには、次の区分に応じた必要書類を添付して確定申告書を提出しなければなりません。
⑴ 被相続人の居住用家屋のみ、又は居住用家屋とともにその敷地を譲渡した場合
① 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
② 登記事項証明書・・・次の3つの事実を証明するもの(土地・建物)
● 相続又は遺贈により取得した家屋や敷地であること。
● 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。
● 区分所有建物登記がされていない家屋であること。
③ 被相続人居住用家屋等確認書・・・市区町村長が次の2つの事項を確認した書類
● 相続の開始の直前において、被相続人が被相続人居住用家屋を居住の用に供しており、かつ、被相続人居住用家屋に被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
● 被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等が相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。
④ 耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書のコピー
⑤ 売買契約書等のコピー(売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの)
⑵ 被相続人の居住用家屋の取り壊し後のその敷地を譲渡した場合
① 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
② 登記事項証明書・・・次の3つの事実を証明するもの
● 相続又は遺贈により取得した家屋や敷地であること。
● 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。
● 区分所有建物登記がされていない家屋であること。
③ 被相続人居住用家屋等確認書・・・市区町村長が次の3つの事項を確認した書類
● 相続の開始の直前において、被相続人が被相続人居住用家屋を居住の用に供しており、かつ、被相続人居住用家屋に被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
● 被相続人居住用家屋が相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。
● 被相続人居住用家屋の敷地等が次の2つの要件を満たすこと。
☆ 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。
☆ 取壊し等の時から譲渡の時まで建物又は構築物の敷地の用に供されたことがないこと。
④ 売買契約書等のコピー(売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの)
【令和5年度の税制改正】
① 令和5年度の税制改正では、本特例の適用期間が令和5年12月31日までとされておりましたが、令和9年12月31日までに延長されることになりました。(令和6年1月1日以降の譲渡が対象です。)
② 令和5年度の税制改正により、相続又は遺贈によって被相続人の居住用家屋及び被相続人の居住用家屋の敷地等を取得した相続人の数が3人以上の場合には、特別控除額が1人当たり2,000万円に引き下げられることになりました。(令和6年1月1日以降の譲渡が対象です。)
③ 令和5年度の税制改正により、耐震改修工事を完了した家屋又は家屋の取り壊し後の敷地等を譲渡した場合が適用対象でしたが、売買契約に基づき、譲渡後、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに当該家屋の耐震改修工事又は取り壊しを行った場合にも適用対象となりました。(令和6年1月1日以降の譲渡が対象です。)。
国土交通省HPの「空き家の発生を抑制するための特例措置」も御参照下さい。
国税庁HPの下記のタックスアンサーも御参照下さい。
No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
富士市HPの「空き家の譲渡所得の3000万円の特別控除に係る確認書(被相続人居住用家屋等の確認書)の交付について」も御参照下さい。
被相続人居住用家屋等確認書の発行窓口
富士市 都市整備部 住宅政策課 ☎ 0545-55-2817
富士宮市 都市整備部 住宅政策課 住宅管理係 ☎ 0544-22-1163
【Word文書】をダウンロード → 「被相続人居住用家屋等確認書」
【Word文書】をダウンロード → 「耐震基準適合証明書」 ☆
Ⅰ.特例の概要
相続発生後、不要な相続財産を処分したり、相続税の納税資金を工面するために相続財産を売却することがあると思います。相続財産を売却する際には、譲渡所得税の納税義務が発生するケースもあります。こうしたケースでは、相続財産を売却(譲渡)した場合に相続税が取得費として加算される特例の適用を検討すべきだと思います。この特例は、相続により取得した土地、建物、株式等を一定の期間内に譲渡した場合、相続税額のうち一定の金額を譲渡資産の取得費に加算することができる制度です。つまり、譲渡所得の計算上、相続税額の一部が、いわゆる経費として認められるものとなっております。このため、譲渡所得税を節約するためにも有効に活用したい制度であると思います。ただし、この特例は、譲渡所得のみに適用がある特例ですので、株式等の譲渡による事業所得及び雑所得については、適用がありません。
Ⅱ.特例適用の要件
⑴ 適用対象者は、相続や遺贈により財産を取得した者であること。
⑵ 相続や遺贈により財産を取得した者(適用対象者)が、相続税を納税していること。
⑶ 適用対象者は、相続や遺贈により取得した財産を、相続開始のあったことを知った日の翌日から10ヶ月以内の相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日(原則:死亡後3年10ヶ月以内)までに譲渡していること。
Ⅲ.取得費に加算する相続税額
譲渡所得の計算上、取得費(購入代金や請負金額等の取得に要した金額)に加算する相続税額は、相続又は遺贈が開始した日により、次の⑴又は⑵の算式により計算した金額となります。ただし、その金額が、この特例を適用しないで計算した譲渡益(売却金額から取得費及び譲渡費用を差し引いた金額)の金額を超過する場合は、その譲渡益相当額が限度となります。
⑴ 平成27年1月1日以後の相続又は遺贈により取得した財産を譲渡した場合の計算式は、次のとおりとなります。なお、譲渡した財産ごとに計算します。
計算式 ①×②÷(③+④)=取得費に加算する相続税額
①:適用対象者の相続税額
②:適用対象者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた譲渡した財産の価額
③:適用対象者の相続税の課税価格
④:適用対象者の債務控除額
※ 相続財産のうち、譲渡した財産のみに対応する部分の相続税額と考えればわかりやすいと思います。
⑵ 平成26年12月31日以前の相続又は遺贈により取得した財産を譲渡した場合の計算式は、譲渡した財産により、次のとおりとなります。
1.土地等を譲渡した場合
土地等を譲渡した者の相続税額のうち、相続や遺贈により取得した全ての土地等に対応する金額が、取得費に加算する相続税額となります。なお、既にこの特例の適用を受けて取得費に加算された相続税額がある場合には、その金額を控除した金額が限度額になります。
計算式 ①×②÷(③+④)=取得費に加算する相続税額
①:適用対象者の相続税額
②:適用対象者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた土地等の価額の合計額
③:適用対象者の相続税の課税価格
④:適用対象者の債務控除額
※ 土地等とは、土地及び土地の上に存する権利(借地権等)をいいます。土地等には、相続時精算課税制度の適用を受けて、相続財産に合算された贈与財産である土地等や、相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した土地等が含まれます。なお、相続開始時において棚卸資産又は準棚卸資産であった土地等や物納した土地等及び物納申請中の土地等は含まれません。
※ ②の分子に相当する金額が、平成27年1月1日以後は減少することなり、実質的な増税となっております。
2.土地等以外の財産(建物・株式等)を譲渡した場合
建物や株式等を譲渡した者の相続税額のうち、その譲渡した建物や株式等に対応する金額が、取得費に加算する相続税額となります。なお、譲渡した財産ごとに個別計算します。
計算式 ①×②÷(③+④)=取得費に加算する相続税額
①:適用対象者の相続税額
②:適用対象者の相続税の課税価格の計算の基礎とされた譲渡した建物や株式等の価額
③:適用対象者の相続税の課税価格
④:適用対象者の債務控除額
Ⅳ.本特例を受けるための手続
本特例を受けるためには、所得税の確定申告をすることが必要です。なお、所得税の確定申告書には下記書類の添付が必要です。
⑴ 相続税申告書の写し(第1表、第11表、第11の2表、第14表、第15表)・・・現行では不要
⑵ 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
⑶ 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書【土地・建物用】)・・・土地・建物等の譲渡があった場合
⑷ 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書・・・株式等の譲渡があった場合
【PDF文書】をダウンロード →「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書(平成27年1月1日以後相続開始用)」
【PDF文書】をダウンロード →「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】(1面から4面)」
【PDF文書】をダウンロード →「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」「確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」
Ⅴ.所得税の確定申告期限後に相続税申告書を提出した場合の更正の請求
相続財産の譲渡に係る確定申告期限の翌日(通常3月16日)から相続税の申告期限(原則:被相続人の死亡時から10ヶ月)までの間に相続税申告書を提出した者は、その相続税申告書を提出した日の翌日から2月以内に限り、更正の請求により本特例を受けることができます。本特例は、平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した資産の譲渡について適用されます。
国税庁HPの下記のタックスアンサーも御参照下さい。
No.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
No.3252「取得費となるもの」
No.3255「譲渡費用となるもの」 ☆
1 相続税の課税対象になる死亡保険金の概要、節税、相続対策
被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。ただし、死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、【500万円×法定相続人の数】によって計算した金額は、非課税とされております。全ての相続人が受け取った保険金の合計額が、この非課税限度額を超えるときは、その超える部分だけが相続税の課税対象になります。つまり、非課税限度額は、相続税の基礎控除額(3000万円+法定相続人の数×600万円)とは別枠になっております。従って、非課税限度額以下の死亡保険金は、無税で相続人に相続させることができますので、保険契約の活用により相続税対策をすることができます。
例えば、配偶者と子供が2人の法定相続人であれば、1500万円(500万円×3人)までの死亡保険金については、相続税が課税されません。具体例として【死亡保険金:750万円、受取人:子供、契約者兼保険料負担者:被相続人】という保険契約を子供2人にそれぞれした場合、被相続人の死亡時に子供はそれぞれが無税で750万円を取得できます。相続税は、納期限(申告期限と同期日)までに金銭で一括納付することが原則となっておりますので、受け取った保険金を相続税の納税資金に充当することができます。又、被相続人の遺産を相続人間で公平に分割できない場合(現物分割が困難な場合など)には、遺産分割の調整金として受け取った保険金を利用することができますし、保険の契約時において保険金の受取人を特定の相続人に指定することもできます。
被相続人の生前に適正な金額の保険契約をすることは、上記のように相続税対策として有効な手段であると思います。なお、保険契約には、無審査で加入できるものもありますので、被相続人が高齢であったり、病歴があったとしても、保険を活用した相続税の節税対策は検討すべきであると思います。
なお、法定相続人以外の者が受け取った死亡保険金については、残念ながら非課税限度額の適用はなく、遺贈された財産として、その全額が相続税の課税対象となります。又、非課税限度額を計算する際の法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。さらに、法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。なお、法定相続人の数に含める養子の数の制限については、国税庁HPの下記のタックスアンサーも御参照下さい。
【重要】 生命保険金の非課税限度額=(500万円) ×(法定相続人の数)
相続税 No.4170「相続人の中に養子がいるとき」
2 相続税の課税対象になる死亡保険金の各人に係る課税金額
相続税の課税対象となる死亡保険金について、各相続人の受け取る保険金額により相続税が課税される金額が異なります。各相続人ごとに相続税が課税される金額 【(D)その相続人の課税される生命保険金の金額】 は、次の算式によって計算した金額となります。なお、この計算は、相続税の申告書第9表「生命保険金などの明細書」を使用すると分かりやすくて便利です。
(A)-(B)×(A)/(C)=(D)
(A)その相続人が受け取った生命保険金の金額
(B)非課税限度額(500万円×法定相続人数)
(C)全ての相続人が受け取った生命保険金の合計額
(D)その相続人の課税される生命保険金の金額
例えば、配偶者と子供(甲・乙)の3人が法定相続人である場合において、①【死亡保険金:1000万円、受取人:甲、契約者兼保険料負担者:被相続人】、②【死亡保険金:1500万円、受取人:乙、契約者兼保険料負担者:被相続人】という2つの保険契約を被相続人がしていた場合、甲・乙の課税される生命保険金の金額は下記のとおりになります。
①甲の課税価格 1000万円-(500万円×3人)×1000万円/(1000万円+1500万円)=400万円
②乙の課税価格 1500万円-(500万円×3人)×1500万円/(1000万円+1500万円)=600万円
以上から、甲の受け取る死亡保険金1000万円のうち、相続税の課税対象になる金額は400万円となり、600万円は非課税であり甲の個人財産になります。又、乙の受け取る死亡保険金1500万円のうち、相続税の課税対象になる金額は600万円となり、900万円は非課税であり乙の個人財産になります。
3 死亡保険金の課税関係
交通事故や病気などで被保険者が死亡し、保険金受取人が死亡保険金を受け取った場合には、被保険者、保険料の負担者及び保険金受取人が誰であるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの課税の対象になり、相続税だけが関係するものではありません。死亡保険金の課税関係は、具体的には以下のとおり3つの類型になり、税目が異なりますので、税務申告をする際には御留意下さい。
① 被保険者 A、保険料負担者 B、保険金受取人 B の場合、Bに所得税が課税されます。
② 被保険者 A、保険料負担者 A、保険金受取人 B の場合、Bに相続税が課税されます。
③ 被保険者 A、保険料負担者 B、保険金受取人 C の場合、Cに贈与税が課税されます。
4 所得税が課税される場合
被保険者A、保険料負担者B、保険金受取人Bの場合、Bに所得税が課税されます。
所得税が課税される保険契約は、上記のように、保険料の負担者と保険金受取人とが同一人の場合です。この場合の死亡保険金は、受取の方法により、一時所得又は雑所得として課税されます。
(1) 死亡保険金を一時金で受領した場合
死亡保険金を一時金で受領した場合には、所得税の一時所得になります。一時所得の金額は、その死亡保険金以外に他の一時所得がないとすれば、(受け取った保険金の総額)から(既に払い込んだ保険料又は掛金の総額)を差し引き、一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額となります。課税の対象となる金額は、この金額を更に1/2にした金額となり、実効税率が低く節税効果が高いものになります。
この課税上の取り扱いを利用し、次のような節税対策が可能です。
例えば、親が子に現金を贈与し、その現金を保険料の原資にして、被保険者:親、保険契約者(保険料負担者):子、保険金受取人:子、とする終身生命保険に加入します。年間の保険料(贈与する現金)が、110万円(贈与税の基礎控除額)を超過する場合には、子は贈与税の申告をします。こうした保険契約形態の場合、親が死亡した時に子に支払われる死亡保険金は、子の一時所得となります。死亡保険金の相続税の非課税枠(500万円×法定相続人数)を超過した金額に対し、相続税が課税される場合と比較すると、一時所得の実効税率が低いので、かなりの節税効果が期待できます。「死亡保険金」が「相続税の非課税枠を超過する保険金」となる生命保険契約に加入する際には、一時所得となる生命保険契約の加入(分散した保険の加入)も検討すべきだと思います。
(2) 死亡保険金を年金で受領した場合
死亡保険金を年金で受領した場合には、公的年金等以外の雑所得になります。雑所得の金額は、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料又は掛金の額を差し引いた金額です。なお、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。
5 相続税が課税される場合
被保険者A、保険料負担者A、保険金受取人Bの場合、Bに相続税が課税されます。
相続税が課税される保険契約は、上記のように、被保険者と保険料負担者が同一人の場合です。保険金受取人が被保険者の相続人であるときは、相続により取得したものとみなされ、相続人以外の者が受取人であるときは遺贈により取得したものとみなされ、相続税が課税されます。また、死亡保険金を年金で受領する場合には、公的年金等以外の年金とされ、毎年支払を受ける年金に対して所得税が課税されます。この所得税は、年金支給の初年度は全額非課税、2年目以降は課税部分が階段状に増加していく方法により計算されます。実際に相続税の納税額が生じなかった場合においても、この方法により所得税が課税されます。なお、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。又、平成25年1月1日以後に支払われる生命保険契約等に基づく年金のうち、その年金の支払を受ける人と保険契約者とが異なる契約等で一定のものに基づく年金については、源泉徴収されません。
6 贈与税が課税される場合
被保険者A、保険料負担者B、保険金受取人Cの場合、Cに贈与税が課税されます。
贈与税が課税される保険契約は、上記のように、被保険者、保険料負担者及び保険金受取人が全て異なる場合です。保険金受取人が保険金を贈与により取得したものとされ、贈与税が課税されます。また、死亡保険金を年金で受領する場合には、公的年金等以外の年金とされ、毎年支払を受ける年金に対して所得税が課税されます。この所得税は、年金支給の初年度は全額非課税、2年目以降は課税部分が階段状に増加していく方法により計算されます。実際に贈与税の納税額が生じなかった場合においても、この方法により所得税が課税されます。なお、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。又、平成25年1月1日以後に支払われる生命保険契約等に基づく年金のうち、その年金の支払を受ける人と保険契約者とが異なる契約等で一定のものに基づく年金については、源泉徴収されません。
国税庁HPの下記のタックスアンサーも御参照下さい。
相続税 No.3267「相続税の課税対象になる死亡保険金」
所得税 No.1750「死亡保険金を受け取ったとき」
所得税 No.1755「生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」 ☆