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電話 0545-57-0005
(対象地域 富士市、富士宮市
沼津市 静岡市清水区)
1.「相続登記」などは必ずしなければなりませんか?
2.「相続登記」 や「相続手続」に必要な書類を教えて下さい。
3.「売買や贈与などの登記に必要な書類」を教えて下さい。
4.「登記申請手続」は本人でもできますか?(登記費用の節約 その1)
5.「登記費用の節約」をする方法はありますか?(登記費用の節約 その2)
6.「登録免許税の節約」をする方法はありますか?(登記費用の節約 その3)
7.「権利証」がなくなりましたか?
8.「登記識別情報」とは何ですか?
9.「権利書の紛失」をした場合の対処方法について解説して下さい。
10.「本人確認情報」を作成する場合の必要な資料について説明して下さい。
11.「住宅ローンの完済」をしましたが、担保の登記を抹消しなければなりませんか?
12.「本人確認」は必ず必要でしょうか?
13.「外国に居住する日本人」の登記申請手続について解説して下さい。
14. 「外国人の住所変更登記」について教えて下さい。
15. 「登録免許税算定の不動産価額」について教えて下さい。
16. 「共有持分の決め方」について教えて下さい。
17. 「相続登記」をしなければ必ず罰金が科されますか?
※ 下記に上記の相談内容の解説がありますので御覧下さい。
まず最初に相続が発生した後に必要とされる法的な手続き、税務関係の届出や申請手続等の期限の概要をご説明致します。
①7日以内 『死亡届』
被相続人(死亡者)の死亡の事実を知った時から7日以内に死亡地等の市区町村役場に届出なければなりません。なお、法務省「戸籍関係手続」「死亡届」を御参照下さい。
②2ヶ月~4ヶ月以内 『青色申告承認申請手続き』
所得税の青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継し,相続人も青色申告の承認を受けたい場合は、相続開始を知った日の時期に応じて、2ヶ月~4ヶ月以内に所轄税務署に青色申告承認申請書を提出しなければなりません。
『所得税・消費税に関する各種届出手続き』
被相続人が提出した所得税や消費税の各種届出書の効力は、相続により被相続人の事業を承継した相続人には及ばないので、相続人が各種届出の規定の適用を引続き受けようとするときは、所轄税務署に新たに所得税や消費税の各種届出書を提出しなければなりません。
なお、国税庁の下記「タックスアンサー」も御参照下さい。
所得税 事業主と税金 No.2070 「青色申告制度」
消費税 申告と納税 No.6602 「相続で事業を引き継いだ場合の納税義務について」
③3ヶ月以内 『相続放棄、限定承認の申述』
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければなりません(民法第915条第1項)。相続放棄、限定承認につきましては、相続開始地の「家庭裁判所」に申述をしなければ正式な手続きとはなりません。(民法第924条第・同第938条)なお、特に【相続放棄】については、注意すべき期間であると思います。民法の条文は、「e-Gov法令検索」御参照下さい。
④4ヶ月以内 『準確定申告書の提出』
確定申告(所得税・消費税)をしなければならない人が死亡した場合には、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に準確定申告書を所轄税務署に提出しなければなりません。
なお、国税庁の下記「タックスアンサー」も御参照下さい。
所得税 申告と納税 No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」
⑤6ヶ月以内 『根抵当権の合意登記』
元本確定前の根抵当権(担保)について、根抵当権者又は債務者に相続があった場合において、相続開始後6ヶ月以内に、指定根抵当権者又は指定債務者の合意の登記をしなければ、担保すべき元本は相続開始の時に確定したものとみなされ、根抵当権の枠(極度額)が利用できなくなり、新規の借入れができなくなります。(民法第398条の8)
⑥10ヶ月以内 『相続税の申告と納付等』
被相続人の遺産総額が相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合には、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、原則として被相続人の死亡の時における住所地の所轄税務署に相続税の申告書を提出し、相続税を納付しなければなりません。
なお、「相続相談コーナー」や国税庁の下記「タックスアンサー」も御参照下さい。
相続税 相続税の申告と納税 No.4205「相続税の申告と納税」
⑦1年以内 『遺留分侵害額請求』
遺留分(被相続人の財産の一定割合を相続することができる最低限の権利)の侵害額請求権(取り戻す権利)は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないとき、若しくは、相続開始の時から10年を経過したときは、時効によって消滅します。(民法第1048条)
⑧3年以内 『相続登記』
所有者の不明な土地を防ぐための法律が令和3年4月に成立し相続登記が義務化されました。令和6年4月1日から施行されます。「新しい法制度」では、不動産の相続があったことを知ってから3年以内に相続登記をしない場合には10万円以下の過料が科される可能性があります。このため、相続人間で遺産分割協議が成立しなかった場合にはただちに相続登記ができませんので、「相続人申告登記」の手続も相続登記の代用措置として新たに制定されました。なお、「相続人申告登記」とは、相続により権利を取得したことを公示するものではありませんが、相続人の1人が相続人であることを示す戸籍を法務局に提出して相続があったことを申告し登録される制度となっております。
以上、相続発生後に、届出や申請等をしなければならない法的な手続き、法務や税務関係の手続きの概要を確認致しますと、⑤と⑥につきましては、相続登記をする必要があります。但し、⑤の根抵当権については、事業資金の貸付けや借入れ等がなく、根抵当権の登記がなければ相続人には関係ありません。又、⑥の相続税の申告につきましても、被相続人の遺産総額が基礎控除額を超えるほど多額でなければ申告そのものが不要です。従って、相続発生後、ただちに相続登記をしなければならない場合は少ないと考えられます。ただし、所有者の不明な土地が激増しているために法令が改正され、相続開始後3年以内に相続登記をすることが必要になりました。 ☆☆
相続手続は、被相続人(亡くなった方)の相続人は誰であるのか、相続人は何処の誰であるのか、遺産にはどのようなものがあるのかなどを証明したり疎明する各種の書類や資料が必要になります。特に、相続登記(相続による不動産の名義変更登記)や相続手続(預貯金・株式などの名義変更や解約手続等)に必要な書類は次のとおりですので、ご参考にして下さい。
① 被相続人(死亡した人)の名寄帳及び固定資産税評価証明書(この書類は、名義変更する不動産を特定するものとなります。)・・・相続登記に必要な書類です。
② 被相続人の出生時から死亡時までの除籍謄本や原戸籍謄本など
(これらの書類は役場の市民課又は住民課等の窓口にて、『相続に必要な戸籍を全部』と請求して下さい。相続人は誰であるのかを証明する書類となります。)
③ 被相続人の住民票の除票
④ 被相続人の戸籍の附票
⑤ 相続人全員の戸籍謄本
⑥ 相続人全員の住民票謄本
⑦ 相続人全員の印鑑証明書
(なお、②~⑦の書類は役場の市民課又は住民課等の窓口で取得できます。これらの書類は、相続人であることを証明するものとなります。)
⑧ 相続人全員の身分証明書のコピー(具体的には運転免許証、健康保険証などですが、本人確認をするための書類です。)
⑨ 遺言書
(もし、遺言書があればご用意下さい。遺言書がある場合には上記書類のうち不要なものもあります。詳細は司法書士にお尋ね下さい。)
⑩ 権利証(被相続人所有の土地建物全部)
⑪ 遺産分割協議書(遺産を分割し、財産を取得する相続人を相続人全員で協議してみて下さい。なお、遺産分割協議書の作成のご依頼も承りますので、詳細は司法書士にお尋ね下さい。)
⑫ 遠隔地の戸籍や除籍等につきましては、司法書士が職務上の権限(住民基本台帳法第12条の3第3項)により取得できますので、お気軽に御相談や御依頼をして下さい。
以上の書類は、最低各1通が必要になります。不動産以外の預貯金や株式などの名義変更手続にも使用される場合は、必要な通数を御用意されることをお勧め致します。なお、銀行や証券会社等の金融機関では原本を提示すれば返却して頂けるところもありますので、取得する通数に御留意下さい。又、【法定相続情報一覧図】を取得された場合には、上記の書類のうち、②~⑥は不要となります。【法定相続情報一覧図】につきましては、「10. 法定相続情報証明制度(法定相続情報一覧図)について教えて下さい。」を御参照下さい。
これらの書類をご自身で準備されれば費用も時間も節約ができると思います。
令和6年3月1日から、戸籍法が改正され、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書・除籍証明書を請求することができる「広域交付制度」が開始されました。これにより、本籍地が遠方にある方でも、お住まいや勤務先の最寄りの市区町村窓口で請求することができるようになりました。又、取得したい戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1カ所の市区町村の窓口でまとめて請求することができるようになりましたので、ご活用下さい。
上記事項をまとめて記載した下記「相続登記必要書類一覧表」のPDFを御参照下さい。
【PDF文書】をダウンロード →「相続登記必要書類一覧表」
その他「法務省民事局」のHP「不動産登記の申請書様式について」も御参照下さい。☆☆
相続以外の名義変更登記には、各種の登記の原因があります。「売買」、「贈与」、「交換」、「財産分与」、「代物弁済」、「時効」、「真正な登記名義の回復」などの登記原因がありますが、これらの名義変更登記申請手続(所有権移転登記)に必要な一般的な書類は次のとおりです。これらの書類があれば、ほとんどの登記申請手続が可能です。なお、ご不明な点や詳細は司法書士にお尋ね下さい。
Ⅰ.売主や贈与者などの登記義務者(権利を失う方)の準備する書類
① 権利証、登記識別情報通知書
② 印鑑証明書(発行日より3ヶ月以内のもの)
③ 実印
④ 身分証明書(運転免許証、保険証、マイナンバーカードなどの公的な証明書)
※ 上記①~④までは必須書類です。
⑤ 固定資産税評価証明書、固定資産税納税通知書、名寄帳
※ これらの書類はいずれか一つをご用意下さい。コピーでも結構です。
⑥ 住民票の謄本
⑦ 登記事項証明書又は資格証明書(法人の場合:発行日より3ヶ月以内)
⑧ 許可証、議事録など(農地の取引、利益相反取引、裁判所関与案件、代理等の場合)
Ⅱ.買主や受贈者などの登記権利者(権利を取得する方)の準備する書類
① 住民票の謄本又は印鑑証明書
② 認印又は実印
③ 身分証明書(運転免許証、保険証、マイナンバーカードなどの公的な証明書)
④ 登記事項証明書又は資格証明書(法人の場合:発行日より3ヶ月以内)
なお、上記事項をまとめて記載した「所有権移転登記必要書類等」のPDFが「後藤事務所資料集」にありますので御参照下さい。
☆ その他「法務省民事局」のHP「不動産登記の申請書様式について」も御参照下さい。☆☆
登記所(法務局)の登記申請手続に限らず、難易度が高いとされます裁判所の訴訟手続きにつきましても、ご本人でなされることは可能です。業界用語としましても、前者を「本人申請」、後者を「本人訴訟」と呼称しており、実際になされる方もおりますので、司法書士や弁護士に必ず依頼しなければならないものではありません。ただし、登記申請手続について、本人自身でなされる方が少ない理由として、利害関係者(債権者、金融機関など)の承諾が得られない場合が多いこと、手続きの仕方、書類等が煩雑で解りにくく、周知されていないからだと思います。
登記申請手続について、利害関係者の承諾が得られた場合や利害関係者のいない場合には、「本人申請」をすることが可能だと思います。そこで、まず、「本人申請」をするためには、登記所に提出する書類を収集し作成しなければなりません。この登記申請書類の様式、添付情報(添付書類)、これらの内容等につきましては、登記関係の書籍が多数刊行されておりますので、これらを参考にする方法があります。又、法務省民事局のサイト「不動産登記の申請書様式について」では、よくある登記事例についての詳細な解説がなされておりますので、これらのネット情報を参考にする方法もあります。さらに、全国のいずれの「法務局(登記所)」におきましても、登記相談官が配置されておりますので、事前の予約が必要ですが、法務局に出向き、直接、登記相談官と相談する方法もあります。
こうした方法により、ご本人でも登記申請手続をすることは可能であると思います。「本人申請」であれば、当然、登記費用も節約できます。但、ご本人が始めて作成される書類や手続きである以上は、手間暇を惜しまないことが肝要ではないかと思います。なお、登記申請手続きの詳細につきましては、「法務局」の「登記・供託のよくあるご質問等」もご参照下さい。
ご参考までに登記申請手続の流れを時系列で記載しますとその概要は次のとおりです。
申請人は、①登記申請に関係する資料を収集し、②申請書類を作成し、③これを登記所に提出し、④受け付けてもらいます。⑤登記所で申請書類の調査後、不備があれば補正となり、申請人は訂正をしなければなりません。申請を正式に受理した登記所では、⑥登記の記録、⑦登記を完了させます。その後、申請人に対し、⑧登記完了証、登記識別情報通知書(いわゆる権利証)等を交付し手続きが終了します。
あくまでも私見ではありますが、本人申請での登記費用の節約額は司法書士の報酬分(数万円程度)に限られます。このため、気苦労をものともせず、時間的な余裕がある方ならばともかく、司法書士に依頼される方が、精神的な負担の軽減や時間の節約になるかと思われます。
なお、司法書士の報酬は自由化されておりますので、「日本司法書士会連合会」の「司法書士の報酬と報酬アンケート結果」もご参考にして下さい。☆☆
「よくある御質問」コーナーの5.「登記申請手続は本人でもできますか?」でも解説しましたとおり、ご自身が登記申請手続きを致しますと、登記費用(司法書士への報酬など)は節約できると思います。しかしながら、このいわゆる「本人申請」手続は、利害関係者がいない場合等に限定されますので、通常は司法書士に依頼されるケースが多いかと思います。以下、司法書士に依頼される場合における登記費用の節約についてお話したいと思います。
登記申請手続には、例えば相続登記などは、登記所に提出しなければならない添付情報(証明書類等)が多数あります。これらの証明書類などの取得手続きの全てを司法書士に依頼されれば、当然費用も時間もかかることになります。このため、登記申請手続に必要な証明書類などが多数ある場合には、ご自身が取得し、できるだけ速やかに司法書士に提出することにより、登記費用を節約することができると思います。
又、登記申請手続をする前段階として、司法書士に事前の相談をすることもお勧め致します。登記申請手続を進めて行く上で、司法書士が作成しなければならない書類も多々あります。このため、事前の相談をすることによって、業務の段取りが良くなり、無駄を省くことになり登記費用の節約に繋がるかと思います。
そのほかに、登記費用の大半を占める場合もある「登録免許税」についても考慮すべきです。登録免許税は、登記申請時に事前に納付する税金ですので、登記の申請前に節税対策をしなければなりません。この登録免許税の節税対策の詳細は、別にお話したく思います。
以上の結果として、司法書士がお客様に請求することのできる報酬額や諸費用などが減少し、登記費用が節約できることになると思います。又、事前に登記費用の見積りを司法書士に依頼し、お客様のご予算の限度がございましたら、「支払金額の相談」を司法書士に直接することも可能ではないかと思います。
なお、司法書士の報酬は自由化されておりますので、「日本司法書士会連合会」の『司法書士の報酬アンケート結果一覧』を御参考にして下さい。☆☆
登記をしようとする者は、登記申請時、つまり登記完了前に「登録免許税」を納める義務があります。このため、登記申請前に登録免許税が節税可能か否かを検討する必要があります。なお、登記申請を司法書士に依頼する場合、登録免許税の納付手続は司法書士が代行致します。
登録免許税は、登録免許税法で画一的に算定されるものです。従って、節税になる余地は少ないと思われます。しかしながら、特別法である租税特別措置法(以下「措法」といいます)の適用がある場合には、かなりの節税が期待できます。以下、措法を中心に検討したいと思います。
① 住宅用家屋を新築等した場合(措法第72条の2)
住宅用家屋を新築し、又は未使用の建売住宅を購入し、居住の用に供した場合には、これらの住宅用家屋の所有権の保存登記(権利関係の最初にする登記)に係る登録免許税の税率は、新築又は購入後1年以内に登記を受けるものに限り、0.4%の税率が0.15%に軽減(62.5%軽減)されます。
② 中古住宅を購入等した場合(措法第73条)
一定の要件に該当する中古住宅又は未使用の建売住宅を購入し、居住の用に供した場合には、これらの住宅用家屋の所有権移転登記(名義変更登記)に係る登録免許税の税率は、購入後1年以内に登記を受けるものに限り、2%の税率が0.3%に軽減(85%軽減)されます。
例えば、昭和57年1月1日以前に建築され、耐震基準に適合している家屋(建築士が作成した「耐震基準適合証明書」を取得した家屋)や、「既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る保険付保証明書」を取得した家屋等についても、この軽減がうけられます。ただし、この耐震基準適合証明書は、事前の取得(売主名義の証明書)及び建築士の証明書作成手数料が必要になりますので、詳細な打ち合わせを要します。(建築基準法施行令第3章及び第5章の4の規定) 又、既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る保険付保証明書は、売主が住宅メーカー等であれば取得できる可能性がありますので、事前の相談事項だと思います。 なお、これらの証明書を取得することは、登記費用節約の有効手段であり、お勧めの方法だと思います。
★【Word文書】をダウンロード → 「耐震基準適合証明書」
③ 特定認定長期優良住宅を新築等した場合(措法第74条)
「特定認定長期優良住宅」(いわゆる100年住宅)の新築をし、又は未使用の特定認定長期優良住宅を購入し、居住の用に供した場合には、これらの所有権保存登記に係る登録免許税の税率は、新築又は購入後1年以内に登記を受けるものに限り、0.4%の税率が0.1%に軽減(75%軽減)されます。又、未使用の特定認定長期優良住宅を購入し、居住の用に供した場合には、この所有権移転登記に係る登録免許税の税率は、購入後1年以内に登記を受けるものに限り、2%の税率が0.1%に軽減(95%軽減)されます。
④ 住宅取得資金の借入れ等に係る抵当権を設定する場合(措法第75条)
住宅用家屋の新築、未使用の建売住宅の購入、一定の要件に該当する中古住宅の購入、一定の要件に該当する増改築等をし、居住の用に供した場合において、これらの住宅用家屋の新築又は取得等をするための資金の貸付(金融機関、住宅ローン保証会社、「住宅金融支援機構」等)が行われるときは、その貸付に係る債権を担保するために、住宅用家屋を目的とする抵当権の設定登記(担保をつける登記)に係る登録免許税の税率は、新築後又は取得後1年以内に登記を受けるものに限り、0.4%の税率が0.1%に軽減(75%軽減)されます。
⑤ 信用保証協会などの保証による借入れ等に係る抵当権を設定する場合(措法第78条)
「信用保証協会」「農業信用基金協会」等の保証により融資を受ける場合において、これらの法人の業務又は事業に係る債権を担保するために受ける抵当権設定登記に係る登録免許税の税率は、0.4%の税率が0.15%に軽減(62.5%軽減)されます。
なお、国税庁の下記「タックスアンサー」も御参照下さい。
印紙税その他の国税 その他の国税 NO.7190「登録免許税のあらまし」
印紙税その他の国税 その他の国税 NO.7191「登録免許税の税額表」☆☆
従来、不動産に関する登記が完了しますと権利を取得した人に対して、登記済証(「登記所」の朱色の大きな印判が押印され、受付年月日と受付番号が記入された書類)が交付されておりました。この交付された書類が、いわゆる不動産の「(登記済)権利証」と呼ばれているものです。この権利証は不動産に関する権利を証明する書類と考えられており、登記手続きに必要な重要書類とされております。
平成17年3月7日、大幅な改正がなされた不動産登記法が施行されました。この法律の大きな改正内容は、権利証が交付されなくなったこと、インターネット経由のオンラインによる不動産登記申請が可能になったことでした。権利証が交付されなくなったことは後述しますが、このオンラインによる不動産登記申請は、法務大臣の指定を受けた登記所から順次申請が可能となりました。
例えば、
富士の登記所(静岡地方法務局富士支局)では、平成19年1月29日から開始されました。
富士宮の登記所(静岡地方法務局富士宮出張所)では、平成19年9月18日から開始されました。
沼津の登記所(静岡地方法務局沼津支局)では、平成18年2月27日から開始されました。
清水の登記所(静岡地方法務局清水出張所)では、平成19年7月17日から開始されました。
その他の登記所のオンライン指定日につきましては、日本司法書士会連合会のホームページ「オンライン申請システム導入庁一覧」をご参照下さい。
このオンライン申請は、原則として全ての情報を電子データとして送信しなければなりませんので、書面である権利証は特例方法を除いて使用できなくなりました。このため、登記が完了してもオンライン申請に対応できない「権利証」は交付されなくなり、その代わりにオンライン申請に対応可能な「登記識別情報」が通知されることになりました。このことが、いわゆる「権利証」が発行されなくなった理由となっております。又、登記識別情報の詳細につきましては、別にお話したいと思います。
「権利証」と「登記識別情報」との関係を再度、富士の登記所の例で確認してみますと、平成19年1月28日までの登記申請では、登記完了後に権利証が交付されました。平成19年1月29日以降の登記申請では、権利証は交付されなくなり、その代わりに登記識別情報が通知されることになりました。
なお、平成19年1月28日以前に交付されました「権利証」は無効になるものではなく、今後の登記申請手続においても引続き必要となる重要書類ですので、大切にお取り扱い下さい。又、「登記識別情報」は、「権利証」に代わるものであり、「権利証」と同一の効力を有するものであることに変更はありませんので、こちらも大切にお取り扱い下さい。
その他、「法務省」の「新不動産登記法Q&A」「登記・供託のよくあるご質問等」も御参照下さい。☆☆
平成17年3月7日、不動産登記法が改正され、新法が施行されました。この施行後、登記申請手続が完了しますと、不動産の権利を取得した人には「登記済【権利証】)」は交付されなくなり、「登記識別情報」が通知されること(書類として登記識別情報通知(書)の発行)になりました。この「登記識別情報」は、登記申請手続をする際、不動産の権利を証明する資料(データ)として「権利証」に代わるものとなりました。
この「登記識別情報」そのものは、「ランダムな12桁の英数字」となっております。キャッシュカードやクレジットカード等の暗証番号を長くしたパスワードとお考え下さい。「登記識別情報」は、法務局(登記所)で発行された登記識別情報通知(書)の下部にパスワードとして印刷されているものです。モスグリーンのシール(縦約3センチ×横約11センチ位)の目隠しや用紙の下部を折り込んだ目隠しがされております。又、登記識別情報通知(書)は薄いグリーンの用紙です。コピー機で複写すると用紙の中程の左右端に「C O P Y」の文字が印刷されるものとなっております。(「登記識別情報通知等に用いている証明書用紙」も御参照下さい。)
繰り返しになりますが、「登記識別情報」は、登記識別情報通知(書)に印刷されているパスワードです。パスワード(暗証番号)である以上は、次の点にご留意下さい。つまり、登記識別情報通知(書)のモスグリーンの目隠しシールを剥がしたり、又は用紙の下部の折り込みを開いたりして、パスワードを他人に見られたり、メモされたり、コピーされたりしますと、従来の「権利証」が盗まれた場合と同様な危険が生じますので、目隠しシールを剥がさないこと、折り込みを開かないことをお勧めします。登記識別情報通知書の現物がなくても、「登記識別情報(パスワード・暗証番号)」を把握していれば登記申請手続ができることになりましたので留意すべきだと思います。
なお、「登記識別情報」=パスワードを不正な目的で取得、提供及び保管等をした場合には不動産登記法の規定により、懲役又は罰金に処せられます。もし、このパスワードを他人に知られてしまい悪用される恐れがある場合には、失効させる制度もあります。そのほか、パスワードそのものを管理したくない方には、登記所から通知されない制度(パスワードそのものが当初から存在しない手続き)もあります。ご心配な点がございましたら、詳細は司法書士にご相談下さい。
その他、「法務省」の「新不動産登記法Q&A」「登記・供託のよくあるご質問等」等もご参照下さい。
なお、下記PDFは、当事務所の登記完了後に返却書類として同封する「登記識別情報の管理方法」です。又、「登記識別情報通知」書の現物見本のPDFが「後藤事務所資料集」にありますのでご参照下さい。☆☆
☆【PDF文書】をダウンロード →「登記識別情報の管理方法」
①「登記済証(権利書、権利証)」
「権利書、権利証」とは、不動産登記法上は「登記済証」と称されており、登記申請手続の完了後に法務局(登記所)から登記申請人に交付された書類です。この「登記済証(権利書、権利証)」は、登記記録(登記簿)上の名義人が登記義務者(売主等)として所有権移転等の登記申請手続をする場合に、登記名義人本人からの申請であることを確認する資料として法務局(登記所)に提供しなければならないものされております。このため、一般的に「権利書、権利証」とも呼ばれております。ただし、平成16年の不動産登記法の改正により、登記済証(権利書、権利証)は交付されなくなりましたが、既に交付されたものは引き続き有効な書類として登記申請手続に使用することができます。又、現行の不動産登記法では、この登記済証に代わる本人確認方法として、登記識別情報の制度が導入され、この登記識別情報通知書をもって、いわゆる「権利書、権利証」と呼ばれております。なお、登記識別情報につきましては、前掲した(2.「登記識別情報」とは何ですか?)をご参照下さい。
② 登記済証(権利書、権利証)、登記識別情報の代替措置
登記済証、登記識別情報(以下「登記済証等」と言います)は、いかなる事情があっても再発行、再通知されません。しかし、登記済証等がなければ登記申請手続ができないものでもありません。登記済証等は、不動産登記申請手続をする際に登記所に提供しなければならないものですが、この登記済証等を提供することができない正当な理由(紛失、盗難、失念等)がある場合には、次のいずれかの方法により申請することができるものとされております。それは、 ⑴ 「事前通知」制度、 ⑵ 「本人確認情報」を提供する制度、 ⑶ 「公証人による本人確認」の制度です。
⑴ 「事前通知」制度
「事前通知」制度とは、とりあえず登記済証等が登記所に提供できない状態で登記の申請をします。この場合、登記の申請は仮に受け付けられますが、登記官が、登記済証等の提供がないため本人確認ができないので、登記所から登記名義人宛に本人を確認する文書を【事前に通知】し、登記名義人本人であることの確認をするものです。この【事前通知】は、登記名義人の住所地宛に本人限定郵便等により送付されるものであり、通知の内容は、「登記申請があった旨」、「登記申請の内容」及び「その内容が真実であるときは2週間以内に登記所宛に返答を催告」するものです。この通知を受け取った登記名義人が、これに記名し実印を押印し、通知された登記申請内容が真実であることを登記所に申し出た時に初めて登記が実行されます。つまり、登記所は、登記名義人からの「【事前通知】に対する2週間以内の申し出(通知書に対する回答)」がされることをもって、本人からの申請であることを確認(登記済証等の代替)をするものです。
⑵ 「本人確認情報」を提供する制度
「本人確認情報」を提供する制度とは、司法書士に登記申請手続を委任して行う場合において、司法書士等の資格者代理人が登記名義人本人を確認した旨の情報を登記所に提供(登記済証等の代替)するものです。具体的には、登記申請代理人である司法書士が、登記名義人本人と面談し、本人の運転免許証、マイナンバーカードなどの身分証明書の提示を受け、本人自身であることを確認します。さらに、その面談日時、面談場所、所定の本人確認の内容等、司法書士がその責任において本人を確認したことを明らかにした上、その内容を本人確認情報として、登記所に提供するものです。この本人確認情報が適正であれば、事前通知を省略して登記申請が受理されることになります。
⑶ 「公証人による本人確認」の制度
「公証人による本人確認」の制度(不動産登記法第23条)とは、公証人が登記名義人本人を直接確認し、確認後の登記関係書類に認証文を付し、その書類(登記済証等の代替)を登記所に提出することにより、登記済証等がなく「事前通知」もすることなしに登記申請が受理されるものです。具体的には、登記申請者が登記義務者本人であることを確認するため、公証人の面前で登記に必要な書類に署名押印(実印)又は自認し、その書類を公証人が認証し認証文を作成する手続です。この手続には、個人の場合には印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)と実印、運転免許証もしくはパスポートなどの本人確認書類も必要になります。法人の場合には、登記事項証明書及び印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)、会社の実印、運転免許証もしくはパスポートなどの本人確認書類も必要になります。
③「事前通知」制度、「本人確認情報」を提供する制度、「公証人による本人確認」の制度、の長所と短所
「事前通知」制度は、登記申請が正式に受理される「事前に通知」を受けた登記名義人本人が登記所に申し出をすることにより、登記の実行がなされる制度です。もし、この申し出がなければ登記が実行されない(却下される)ため、登記権利者(買主等)や利害関係者(債権者、銀行等)に不測の損害が生じてしまいます。又、この申し出がなされることで登記が実行されるため、通常の登記申請手続よりも登記完了までに時間(2週間程度)を要します。ただし、この制度を利用することによる特別な費用や手数料の負担はほとんどないと思います。
「本人確認情報」を提供する制度は、適式な情報を登記所に提供すれば「事前通知」制度とは異なり、直ちに登記が実行されます。このため、登記権利者(買主等)や利害関係者(債権者、銀行等)に不測の損害を生じさせることはありません。ただし、資格者代理人である司法書士等に「本人確認情報」の作成を依頼するため、手間がかかり司法書士等に対する手数料も要することに御留意下さい。
「公証人による本人確認」の制度は、公証人の認証文が付された登記関係書類を登記所に提供すれば「事前通知」制度とは異なり、直ちに登記が実行されます。このため、登記権利者(買主等)や利害関係者(債権者、銀行等)に不測の損害を生じさせることはありません。但、公証人役場に出頭し認証文の作成を依頼するため、手間がかかり公証人に対する手数料も要することに御留意下さい。
その他参考事項(法務省:民事局「新不動産登記法Q&A」)
なお、下記PDFは,当事務所が本人確認をしたことを証する書面として使用しております「本人確認情報提供書」です。☆☆
☆【PDF文書】をダウンロード →「本人確認情報提供書.」
「本人確認情報」を提供する制度とは、登記済証、登記識別情報(以下「登記済証等」と言います)を紛失したり、失念等したりした場合、司法書士等の資格者代理人が登記名義人本人を確認した旨の情報を登記所に提供することにより、登記済証等の代わりとなり、登記申請が可能となるものです。具体的には、登記申請代理人である司法書士が、登記名義人本人と面談し、本人の運転免許証、マイナンバーカードなどの身分証明書の提示を受け、本人自身であることを確認します。さらに、その面談日時、面談場所、所定の本人確認の内容等、司法書士がその責任において本人を確認したことを明らかにした上、その内容を本人確認情報として、登記所に提供するものです。この本人確認情報が適正であれば、登記申請が受理されることになります。
当事務所では、登記済証等を紛失したり、失念等をした場合の「本人確認情報」を作成する際、必要な資料として、① 『本人確認の書類』、② 『物件確認の書類』に分けて、お客様(登記名義人)に準備して頂いております。次に必要書類の一覧を表示いたしますのでご参考にして下さい。
① 本人確認の書類
(登記名義人が本人であることを確認する書類)
【一号書類】・・・(顔写真のある公的な証明書)
下記のうちいずれか1つ以上の提示を求める方法
1. 運転免許証 ・ 運転経歴証明書
2. 在留カード(旧:外国人登録証明書)
3. 個人番号カード(マイナンバーカード)
4. パスポート
※ 顔写真のある上記【一号書類】のうちのいずれか1つあれば以下の書類は不要です。
【二号書類】・・・(顔写真のない公的な証明書)
下記のうち当該申請人の氏名、住所及び生年月日の記載があるものいずれか2つ以上の提示を求める方法
1. 国民健康保険証、健康保険証、船員保険証、介護保険証
2. 医療受給者証、後期高齢者医療被保険者証
3. 健康保険日雇特例被保険者手帳
4. 国家公務員共済組合員証、地方公務員共済組合員証、私立学校教職員共済加入者証
5. 国民年金手帳
6. 児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書、母子健康手帳、身体障害者手帳、精神障害者保険福祉手帳、療育手帳又、戦傷病者手帳
【その他の資料】
1. 名刺、社員者証、身分証明書、宅建士証、各種資格等の会員証等
② 物件確認の書類
(登記名義人が不動産の所有者(権利者)であることを確認する書類)
〔不動産の権利取得又は設定に関する書類〕
1. 物件購入時の売買契約書、重要事項説明書、領収書
2. 新築時の請負契約書、建築確認通知書、検査済証、領収書
3. 登記原因証明情報の写し
4. 登記完了証
5. 資格者代理人作成による登記完了報告書
6. 相続関係書類(遺産分割協議書、相続による名義変更時に使用した戸籍謄本等の綴り)
〔その他 不動産との関連性を確認できる書類〕
1.固定資産税納税通知書、固定資産税納付済領収書(市役所通知書)
2.電気・ガス・水道・電話料金等の納付済み領収書(公共料金の領収書)
3.火災保険証、火災保険の領収書(自宅の場合)
4.固定資産税評価証明書
5.納税証明書
6.住民票謄本
7.戸籍簿謄本
8.車検証(自宅の場合)
9.ゼンリン地図(住宅地図の写し)
10.公図、地積測量図、建物図面
※ 登記済証(権利書・権利証)を紛失等している登記名義人は、上記書類も紛失等している場合が多いため、可能な限り御準備して頂いております。
なお、下記PDFは、上記の内容をまとめた当事務所が実際に使用しております「本人確認情報確認資料」です。☆☆
☆【PDF文書】をダウンロード →「本人確認情報確認資料一覧表.pdf」
住宅ローンにより住宅取得資金の借入れをした時、金融機関との借入契約により、自宅の敷地と建物を担保に入れたため、抵当権という担保権を設定した関係資料を保管していると思います。この手続きをしなければ、住宅ローンによる借入れをすることができませんでした。又、借入契約では、お客様の費用負担により、自宅の敷地と建物を担保に入れる手続である抵当権の設定登記をしたことのご記憶もあるかと思います。
今般、この住宅ローンによる借入れが完済となった場合には、借入れの時と反対の手続きをしなければなりません。担保をはずす手続、つまり抵当権の抹消をする登記が必要になります。この手続きにつきましても、借入れ時の契約条項が適用されますので、お客様の費用負担により、担保をはずす手続である抵当権の抹消登記をしなければなりません。もし、この手続きをされない場合、登記所の登記記録上、永久に担保権である抵当権が記録されたままになってしまいます。又、金融機関から交付される関係書類には、有効期限のあるものもあります。このため、速やかに手続きをしなければ、後日、余分な費用や時間を費やすことになってしまいます。万一、手続きをしないで放置したため、金融機関から交付された書類を紛失した場合には、お客様のご負担がさらに増えることになりますので御注意下さい。お早めに担保をはずす手続である抵当権の抹消登記をする必要があると思います。
なお、住宅ローン完済後の一連の手続につきましては、「住宅金融支援機構(旧「住宅金融公庫」)」や「法務局」の下記サイトもご参考になると思います。ぜひとも、早々にご対応して下さい。又、お忙しくて時間的な余裕がない方、ご面倒だなと思われる方、ご自身で手続きをすることが困難な方は、司法書士に手続きを依頼する方法もあると思います。
☆ 住宅金融支援機構「融資金を完済されたとき(抵当権抹消手続きについて)」
☆ 住宅金融支援機構「融資金完済時にお渡しした抵当権を抹消するために必要な書類を紛失し再交付を希望するとき」
☆ 法務局「不動産登記」住宅ローン等を完済した「抵当権抹消の登記」☆☆
「犯罪収益移転防止法(略して『犯収法』と呼ばれます)」が、平成20年3月1日から施行されて15年経過しました。一般に少しづつ周知されてきていると思いますが、この法律では、不動産取引、会社関係の登記手続き、その他一定の取引(特定取引)については、本人確認など(取引時確認、本人特定事項の確認、取引を行う目的の確認、職業・事業の内容の確認、実質的支配者の確認、資産及び収入の状況の確認等)が必要とされ、その対象となる事業者の範囲も拡大されました。この事業者には、金融機関はもちろんのこと、司法書士や税理士も含まれることになりました。
これらの事業者は、大切な個人情報を取り扱いますので、当然、守秘義務が課せられ、その責任は大変重いものになっております。これと同時に取引の安全とご本人の権利を擁護するためにも、本人確認などの重要性は高まっております。ご依頼者の皆様には御手数をお掛け致しますが、本人確認などの手続きにご協力して頂けます様にお願い申しあげます。なお、本人特定事項の確認の手続きとして提示して頂く書類は次のとおりです。
①【顔写真のある公的な身分証明書】
運転免許証、運転経歴証明書、在留カード、特別永住者証明書、個人番号カード(マイナンバーカード)、旅券(パスポート)、など
以上の顔写真のある証明書等につきましては、いずれか1つの提示で足ります。
②【顔写真のない公的な身分証明書】
例示 国民健康保険証、各種健康保険証、後期高齢者医療被保険者証、介護保険証、共済組合会員証、国民年金手帳、身体障害者手帳、母子健康手帳、療育手帳など
その他、印鑑登録証明書、戸籍の附票の写し、住民票の写し、住民票記載事項証明書など
以上の顔写真のない証明書等につきましては、いずれか2つ以上の提示が必要となります。
なお、詳細につきましては、「警察庁 刑事局 組織犯罪対策部 組織犯罪対策第一課 犯罪収益移転防止対策室」の「犯罪収益移転防止法の解説、パブリックコメント」も御参照下さい。
又、『本人確認のための具体的な書類の一覧』につきましては、「8.本人確認情報を作成する場合の必要な資料について」を御参照下さい。☆☆
国際化の進展や仕事の都合上、外国に居住される日本人の方が増加する傾向にあります。この様な方が、日本国内の不動産の登記申請手続(相続や売買など)をする場合に書類上の問題が生ずることがあります。つまり、登記申請手続には印鑑証明書や住所を証明する住民票等が必要になりますが、日本人(日本国籍を有する者)が国外に居住し、日本国内に住所を有しない場合(住民登録がない場合)には、これらの書類が日本国内において発行されず、取得できないということにあります。又、国外の日本大使館や領事館においても、原則としてこれらの書類は発行されない取扱いとなっております。このため、これらの書類に代わるものを、次に記載する①から④の方法により取得することにより、不動産の登記申請手続に対応することになります。従って、かなりの時間と労力が必要であることにご留意下さい。
① 日本大使館や領事館において証明書を取得する方法
国外居住地の「日本大使館や領事館」において、登記に必要な書類に本人の署名・捺印である旨の「証明」(署名証明書、署名及び拇印証明書、奥書証明書等)を受けることにより、その証明が印鑑証明書の代わりとなります。又、大使館や領事館で発行される「在留証明書や居住証明書」が住所を証明する住民票等の代わりとなります。
☆参考:外務省「在外公館における証明」のHPをご参照下さい。
② 国外居住地(外国)の公証人の証明書を取得する方法
国外居住地の近隣に日本大使館や領事館がない場合、地元の公証人に対し、本人の署名に相違ない旨の証明(公証人の証明書、宣誓供述書等)を登記に必要な書類に受けることにより、その証明が印鑑証明書の代わりとなります。又、公証人の作成した住所を証明する書類が、住所を証明する住民票等の代わりとなります。
③ 日本国内の公証人の証明書を取得する方法
日本に一時的に帰国することが可能な場合、日本国内の「公証人」に対して前記②の「国外居住地の公証人の証明書を取得する方法」と同様な手続(宣誓認証)を公証人役場に申請し、登記に必要な書類に証明を受けたものや証明書(宣誓供述書等)が、印鑑証明書や住所を証明する住民票等の代わりとなります。
☆参考:「日本公証人連合会」のHPをご参照下さい。
④ 日本の住民登録が一時的にでも可能な場合
日本に帰国した際に一時的にでも住民登録が可能であれば、日本国内において印鑑証明書や住所を証明する住民票等を取得することができます。この方法が印鑑証明書等を取得する一番簡便な方法と思われます。しかしながら、国外において就労や長期滞在等を目的としたビザ(査証)を取得した日本人の方は、日本に帰国した際に一時的にでも住所地を日本に移動してしまうとビザ(査証)に影響を及ぼすことがありますのでご留意下さい。その他、個人番号(マイナンバー)や健康保険等についても関連しますのでご留意下さい。☆☆
1.外国人の住民票(外国人登録制度の廃止)
我が国に入国、在留する外国人が年々増加していることなどを背景に、市区町村が、日本人と同様に、外国人住民に対し基礎的行政サービスを提供する基盤となる制度の必要性が高まりました。そこで、外国人住民についても日本人と同様に、住民基本台帳法の適用対象に加え、外国人住民の利便の増進及び市区町村等の行政の合理化を図るための、「住民基本台帳法の一部を改正する法律」が第171回国会で成立し、平成21年7月15日に公布、平成24年7月9日に施行されました。本法律の施行により、外国人登録制度が廃止され、外国人住民に対しても住民票が作成され、関係者の請求があれば住民票が交付されることになりました。なお、住民基本台帳制度の適用対象者は、日本国籍を有しない者のうち、中長期在留者(在留カード交付対象者)、特別永住者、一時庇護許可者又は仮滞在許可者、出生による経過滞在者又は国籍喪失による経過滞在者であって市区町村の区域内に住所を有するものが対象者となります。
2.外国人の住所や氏名等の変更登記申請手続(その1)
平成24年7月9日(以下「基準日」といいます)以降に外国人が住所や氏名等を変更した場合には、外国人も住民基本台帳に登録されることになりましたので、住民票の変更履歴により、その変更内容を証明することができるようになりました。このため、比較的簡易に外国人の住所や氏名等の変更登記申請手続が可能になりました。ただし、住民票には、「基準日」以前の住所や氏名等の変更履歴が記載されないため、「基準日」以前の変更履歴については住民票以外の公的な証明書である外国人登録原票により対応することになりました。
3.外国人の住所や氏名等の変更登記申請手続(その2)
「基準日」以前に外国人が住所や氏名等を変更した場合には、住民票には、「基準日」以前の住所や氏名等の変更履歴が記載されません。このため、【閉鎖外国人登録原票の写し】を出入国在留管理庁に開示請求し、開示された証明書により、その変更の履歴や内容が証明されますので、これにより住所や氏名等の変更登記申請手続をすることができます。【閉鎖外国人登録原票】は、出入国在留管理庁において特定の個人を識別することができる情報として厳重に管理されております。このため、【閉鎖外国人登録原票】の開示請求は、厳格な手続きによることになりますので、その詳細は下記出入国在留管理庁のHPを御参照下さい。
☆ 出入国在留管理庁 「広報・情報公開等」「個人情報保護」 「外国人登録原票に係る開示請求様式」のHPをご参照下さい。
☆ 出入国在留管理庁 【閉鎖外国人登録原票】 に関する「保有個人情報開示請求書の記載例」のHPをご参照下さい。
☆ 総務省「外国人住民に係る住民基本台帳制度」のHPもご参照下さい。
☆ 法務省 民事局「不動産登記の申請書様式について」のHPもご参照下さい。☆☆
不動産の登記を法務局に申請する場合、登録免許税を申請時(事前)に納付しなければなりません。この登録免許税は、登記の申請内容によって、その算定方法が異なります。例えば、売買、相続、贈与、交換等による所有権移転登記申請手続の登録免許税は、【不動産の価額】を基準とし、この価額を課税標準額として、これに一定の税率を乗じて算定致します。一定の税率については、登録免許税法に一覧表(登録免許税の税額表)や算定方法についての詳細な説明がされておりますが、課税標準額となる【不動産の価額】については何らの記載もありません。つまり、登録免許税を算定するための最も重要な要素である【不動産の価額】が明らかにされておりません。このため、【不動産の価額】とはどのようなものなのか、何を基準にしているのか、どのように理解すればよいのかを以下に検討したいと思います。
なお、下記のサイトも御参照下さい。
法務局「不動産登記」不動産登記に関するQ&A「登録免許税はどのように計算するのですか?」
国税庁「タックスアンサー」印紙税その他の国税 その他の国税 NO.7190「登録免許税のあらまし」
国税庁「タックスアンサー」印紙税その他の国税 その他の国税 NO.7191「登録免許税の税額表」
① 登録免許税法 第10条第1項
まず、登録免許税法第10条(不動産等の価額)第1項では、次のように規定されております。 「・・・不動産・・・の登記・・・の場合における課税標準たる不動産・・・の価額は、当該登記・・・の時における【不動産の価額】による。」 つまり、本法である登録免許税法では、税額計算の算定基準となる課税標準額は、【不動産の価額】による旨だけが定められております。その詳細については、法附則、施行令附則、通達等に委譲されおり、本法である登録免許税法には何等の規定もされていません。
② 登録免許税法附則 第7条
登録免許税法附則第7条では、【不動産の価額】について次のように規定されております。 「・・・不動産の登記の場合における・・・課税標準たる不動産の価額は、当分の間、当該登記の申請の日の属する年の前年12月31日現在又は当該申請の日の属する年の1月1日現在において地方税法・・・に掲げる固定資産課税台帳に登録された当該不動産の価格(いわゆる「固定資産税評価額」のことですが、以下「固定資産税評価額」といいます)を基礎として政令で定める価額によることができる。」 とされております。つまり、登録免許税の算定基準となる課税標準額は、【固定資産税評価額を基礎として政令で定める価額】によることができるものとされております。
③ 登録免許税法施行令附則 第3項
次に、登録免許税法施行令附則第3項では、【固定資産税評価額を基礎として政令で定める価格】は、まず、固定資産課税台帳に登録された「価格のある不動産」と「価格のない不動産」に区分され後記のとおりに規定されております。
「価格のある不動産」とは、固定資産税評価額が定められた不動産のことであり、登記の申請の日が1月1日から3月31日までの期間内である場合には、前年の12月31日現在の【固定資産評価額】とし、登記の申請の日が4月1日から12月31日までの期間内である場合には、その年の1月1日現在の【固定資産税評価額】とするものとされております。
「価格のない不動産」とは、固定資産税評価額が定められていない不動産のことであり、登記の申請の日が1月1日から3月31日までの期間内である場合には、当該不動産に類似する不動産の前年の12月31日現在の固定資産税評価額を基礎とし、又、登記の申請の日が4月1日から12月31日までの期間内である場合には、当該不動産に類似する不動産のその年の1月1日現在の【固定資産税評価額を基礎として当該登記に係る登記機関が認定した価額】によるものとされております。
④ 登録免許税法施行令附則 第4項
さらに、登録免許税法施行令附則第4項では、次のように規定されております。 「・・・不動産の価額を課税標準とする・・・登録免許税を課税する場合において、登記官が当該登記の目的となる不動産について増築、改築、損壊、地目の変換その他これらに類する特別の事情があるため・・・適当でないと認めるときは、・・・【固定資産税評価額を基礎として政令で定める価額】は、固定資産税評価額を基礎とし当該事情を考慮して当該登記官が認定した価額とする。」 つまり、課税標準たる【不動産の価額】は、【登記官が諸事情を考慮して認定した価額】とされております。ただし、下記⑤の通達(各法務局単位の規定)の具体的な制約があります。
⑤ 静岡地方法務局長通達
静岡地方法務局長通達では、不動産登記の登録免許税課税標準価額の認定について、次のとおりに定められております。 「課税標準 登録免許税の課税標準である不動産の価額は、登録免許税法第10条、同法附則第7条、同法施行令附則第3項、第4項の規定及びこの通達の定めるところによる。」 つまり、個別具体的な不動産の価額(課税標準額)は、この通達によるものとされております。従って、上記①~⑤までの結論として、【不動産の価額】とは、固定資産税評価額を基礎とし、この通達に基づき登記官の認定した不動産の価額が、登録免許税算定の課税標準額になることになります。これらのことから、登記官の裁量権限がかなり大きなものであると感じられます。
なお、登録免許税法、同法附則、同法施行令附則、通達の詳細につきましては、後記及びPDF文書を御参照下さい。
⑥ 不動産登記申請時の添付情報
不動産登記法は、上記①~⑤で御説明した事情から、不動産登記申請に際して登録免許税額の算定根拠となる情報(書類)を添付しなければならないという規定をしておりません。しかしながら、不動産登記の実務では、登録免許税額を算定し、納付もしなければならないので、算定根拠となる情報(書類)を添付する取り扱いとされております。算定根拠となる情報として、具体的には固定資産税評価証明書、固定資産税評価通知書、固定資産税課税証明書、固定資産税納税通知書の写し、名寄帳の写し等により、担当登記官が不動産の価額として認定できるものとされており、法務局ごとに取り扱いが微妙に異なります。なお、静岡地方法務局 首席登記官の令和4年1月18日付事務連絡(下記参照)では、評価証明書の写し(コピー・PDF)、名寄帳の写し(コピー・PDF)、納税通知書の写し(コピー・PDF)でもよい旨の通知がされております。
【PDF文書】をダウンロード →「令和4年1月18日付 静岡地方法務局 首席登記官 事務連絡」
【参考条文及びPDF文書】
① 登録免許税法 第10条(不動産等の価額)第1項
別表第1第1号、第2号、第4号又は第4号の2に掲げる不動産、船舶、ダム使用権又は公共施設等運営権の登記又は登録の場合における課税標準たる不動産、船舶、ダム使用権又は公共施設等運営権(以下この項において「不動産等」という。)の価額は、当該登記又は登録の時における不動産等の価額による。この場合において、当該不動産等の上に所有権以外の権利その他処分の制限が存するときは、当該権利その他処分の制限がないものとした場合の価額による。
② 登録免許税法附則 第7条
新法別表第1の第1号に掲げる不動産の登記の場合における新法第10条第1項の課税標準たる不動産の価額は、当分の間、当該登記の申請の日の属する年の前年12月31日現在又は当該申請の日の属する年の1月1日現在において地方税法(昭和25年法律第226号)第341条第9号(固定資産税に関する用語の意義)に掲げる固定資産課税台帳に登録された当該不動産の価格を基礎として政令で定める価額によることができる。
③ 登録免許税法施行令附則 第3項
法附則第7条に規定する政令で定める価額は、地方税法(昭和25年法律第226号)第341条第9号に掲げる固定資産課税台帳(以下「課税台帳」という。)に登録された価格のある不動産については、次の各号に掲げる当該不動産の登記の申請の日の属する日の区分に応じ当該各号に掲げる金額に相当する価額とし、課税台帳に登録された価格のない不動産については、当該不動産の登記の申請の日において当該不動産に類似する不動産で課税台帳に登録された価格のあるものの次の各号に掲げる当該申請の日の区分に応じ当該各号に掲げる金額を基礎として当該登記に係る登記機関が認定した価額とする。
第1号 登記の申請の日がその年の1月1日から3月31日までの期間内であるもの その年の前年12月31日現在において課税台帳に登録された当該不動産の価格に100の100を乗じて計算した金額
第2号 登記の申請の日がその年の4月1日から12月31日までの期間内であるもの その年の1月1日現在において課税台帳に登録された当該不動産の価格に100分の100を乗じて計算した金額
④ 登録免許税法施行令附則 第4項
法別表第1の第1号に掲げる登記で不動産の価額を課税標準とするものについて登録免許税を課税する場合において、登記官が当該登記の目的となる不動産について増築、改築、損壊、地目の変換その他これらに類する特別の事情があるため前項の規定により計算した金額に相当する価額を課税標準の額とすることを適当でないと認めるときは、同項の規定にかかわらず、法附則第七条に規定する政令で定める価額は、同項の規定により計算した金額を基礎とし当該事情を考慮して当該登記官が認定した価額とする。
⑤ 静岡地方法務局長通達
参考までに、下記に平成9年3月25日登第284号及び平成15年3月6日登第359号静岡法務局長通達を掲載致します。
【PDF文書】をダウンロード →「静岡地方法務局長通達」(その1)
【PDF文書】をダウンロード →「静岡地方法務局長通達」(その2)
【PDF文書】をダウンロード →「静岡地方法務局長通達」(その3)☆☆
土地を購入したり、建物を新築した場合、複数人が資金を出し合って共有名義で取得することがあります、例えば、2名で建物を取得した場合の各自の持分は、2分の1づつの共有にすればよいのでしょうか? それとも、資金の負担割合によって持分を決めたらばよいのでしょうか? 何か特別な方法があるのでしょうか? こうした場合、どのように共有持分を決めたらよいか迷うことがあります。次にこの共有持分の決め方について考えてみたいと思います。
【原則】 共有持分は、共有者の各々が負担した取得資金の金額に応じて、各自の持分を定めるのが原則だと思います。もし、実際の取得資金の負担割合と持分(所有権登記の持分割合)とが異なっている場合には、贈与税の問題が生ずることがあるからです。具体例として、1,000万円の建物をAは700万円、Bは300万円の資金を負担して取得し、所有権登記の持分を各2分の1とした場合で検討してみます。この場合、A、Bの持分の取得資金相当額は、1,000万円の2分の1の500万円になります。ところが、Bは、取得資金を300万円しか負担しておりませんので、500万円相当額との差額の200万円(500万円-300万円)については、AからBへの贈与があったものとみなされます。このため、Bには贈与税が課税され、その贈与税額は、(200万円-110万円:基礎控除額)×10%=9万円となります。ただし、取得資金の負担割合に応じた持分であるAの持分を7/10、Bの持分を3/10とした場合には、贈与税の問題は生じないことになります。従って、原則としてAの持分は7/10、Bの持分は3/10とすべきであると思います。
② 留意点その2 建物登記の持分は建物本体価格のみを対象
建物を取得する場合、建物本体価格の他に、外構工事、設備機器、内装工事、諸経費などの支払いがあります。共有持分の割合をなかなか決定できない大きな一因は、こうした全ての費用の金額を把握しなければならないと思い込んでいることだと思います。一方、建物の登記は、あくまでも建物本体だけに関するものです。このため、共有で取得する場合には、建物本体価格だけの共有者の負担割合を考慮すれば良いと思います。つまり、外構工事、設備機器、内装工事、諸経費などは対象外として、建物の共有持分割合を定める方法です。従って、単純明快な迷わない共有持分の決め方は、建物本体価格のみを対象とすることだと思います。端的に決めることが肝要かと思います。もっとも、建物本体価格とそれ以外の諸経費の金額の総合計金額が把握できている場合には、総合計金額の負担割合により持分を確定して、建物の共有持分とすれば良いと思います。
③ 留意点その3 まずは「持分ありき」で考える方法
自己資金と住宅ローン等により、共有名義で土地や建物を取得する場合には将来の共有者間の返済割合も考慮しなければなりません。将来の返済割合は、土地や建物の取得時点での共有者の年収を基準に決める方法、将来のなんらかの収入予定により決める方法等があります。ところが、将来の収入予定を予測することは困難で不確定な場合も多いので、先に持分割合を決めてしまい、決定した持分割合に基づいて、取得費、諸経費などの支払いや将来の返済をする方法もあります。実際的には、土地や建物の取得の際にこの持分割合をまずは決定してしまい、決定した持分の割合により、その後の支払いや返済等をした方が後日分かりやすく、将来の返済金額の不明瞭性や不確定要素もなくなると思います。最初に持分を確定してしまい、持分に応じた支払いをすれば簡単明瞭だと思います。まずは、「持分ありき」で考える方法です。
④ 留意点その4 贈与税の基礎控除額の活用
共有者の持分を最終的に決定する場合に、分かりやすい持分(約分)にすることや、数円単位まできっちりと確定した持分にすることはとても難しいことだと思います。こうした際には、贈与税の基礎控除額をご活用下さい。1人1暦年110万円の贈与税の基礎控除額があることはご存知だと思いますが、この基礎控除額を活用することにより、分かりやすい持分にすることが可能かと思います。具体例として、1,000万円の建物をAが581万円、Bが419万円の建築費用を負担した場合に、Aの持分を1/2(81万円相当額の持分不足)とし、Bの持分を1/2(81万円相当額の持分過大)としても、110万円以内の持分の負担割合の誤差については贈与税は課税されませんので、分かりやすい持分とすることができると思います。
なお、国税庁HP「タックスアンサー」NO.4411「共働きの夫婦が住宅を買ったとき」も御参照下さい。☆ ☆
相続登記がされないため、登記記録(登記簿)を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」が全国的に増加し、これらの土地周辺の環境の悪化や公共工事が阻害される原因など、社会問題となっております。これらの問題を解決するため、令和3年に法律が改正され、これまで任意であった相続登記が義務化されることになりました。
つまり、相続人は、不動産(土地、建物)を相続により取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務となり、法務局(登記所)に申請する必要があることになりました。又、正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料(罰金)に科される可能性があることとされました。さらに、遺産分割協議により不動産を取得した場合にも、遺産分割協議が成立した日から3年以内に、相続登記をする必要があることになりました。
この相続登記の義務化は、令和6年4月1日から実施されました。又、令和6年4月1日より前に相続した不動産についても、3年間の猶予期間がありますが、相続登記がされていないものについても義務化の対象になりました。
このため、相続人の間で早々に遺産分割協議を行い、この協議により不動産を取得した者は、法務局(登記所)に相続登記をする必要があります。しかしながら、早期の遺産分割協議が困難な場合には、新たに創設された「相続人申告登記」という簡便な手続きを法務局(登記所)にすることにより、相続登記の義務を果たすこともできるようになりました。この「相続人申告登記」とは、戸籍などを法務局(登記所)に提出し、自分が相続人であることを申告する簡易な手続きとなっております。
従って、まず、相続が発生し遺産分割協議が成立した場合には、速やかに遺産分割協議の結果に基づく相続登記をする必要があります。早期に遺産分割協議を成立しない場合や、遺産分割協議をすることが困難な場合には、「相続人申告登記」をする必要があるかと思います。
ここで、正当な理由がないのに相続登記をしない場合、過料(罰金)の対象になるとの法律の改正がありましたが、どのような場合に過料に科せられるのか検討してみます。なお、詳細については「令和5年9月12日付法務省民二第927号民事局長通達」をご確認下さい。【PDF】「令和5年9月12日付法務省民二第927号民事局長通達」
①裁判所への通知
登記官は、相続登記の申請をすべき義務に違反して過料に処せられるべき者があることを職務上知ったときは、その者に対して相当の期間を定めてその申請をすべき旨を催告し、それにもかかわらず、その期間内にその申請がされないときに限り、遅滞なく、管轄する裁判所にその事件を通知しなければならないこととされました。従って、登記官からの相続登記の申請をすべき旨の催告書が届かなければ、即時に過料(罰金)に処せられる訳ではありません。
②登記官が申請の催告を行う端緒
登記官は、次に掲げるいずれかの事由を端緒として、相続登記の申請をすべき義務に違反したと認められる者があることを職務上知ったときに限り、申請の催告を行うものとされております。
⑴ 相続人が遺言書を添付して遺言内容に基づき特定の不動産の所有権移転登記を申請した場合において、当該遺言書に他の不動産の所有権についても当該相続人に遺贈し、又は承継させる旨が記載されていたとき。
⑵ 相続人が遺産分割協議書を添付して協議内容に基づき特定の不動産の所有権移転登記を申請した場合において、当該遺産分割協議書に他の不動産の所有権についても当該相続人が取得する旨が記載されていたとき。
③登記官による正当な理由の確認
相続登記をしない場合の「正当な理由」の有無については、相続登記等の申請義務の履行期間内において、次の⑴~⑸までのような事情が認められる場合には、一般に「正当な理由」」があると認められるとされております。又、これらの事情に該当しない場合においても、個別の事案における具体的な事情に応じ、申請をしないことについて理由があり、その理由に正当性が認められる場合には「正当な理由」があるものとされております。
⑴ 相続登記等の申請義務に係る相続について、相続人が極めて多人数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
⑵ 相続登記等の申請義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
⑶ 相続登記等の申請義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
⑷ 相続登記等の申請義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
⑸ 相続登記等の申請義務を負う者が経済的に困窮しているため、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合
以上のとおり、相続登記をしなければ必ず罰金(過料)が科されるわけではありません。しかしながら、相続登記をしないで放置しておけば、相続人が死亡したり、相続人間で紛争が生じたり、相続手続きが困難になる事情が発生することが生じたりして、自らが所有者不明土地の当事者となる可能性が高まります。このため、相続が発生した場合には、すみやかに相続登記をすべきであると思います。☆☆